中島恵の「中国最新トレンド事情」

2018年6月5日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)などがある。

経済力の向上に伴い、中国の結婚式は年々豪華になりつつある。中国では、都市と農村でその風習や規模、洗練度などが異なるため、「これが中国の平均的な結婚式」とはいえないが、具体的にはどのようなものなのか。あくまでも個別のケースに過ぎないが、昨年結婚したばかりの中国人女性の例を紹介しよう。

2、3回結婚式を行なうことも

劉さんの結婚式アルバムの中の1枚

 「結婚してもうすぐ1年になります。月日の経つのは早いものですね」

 4月下旬、上海在住で27歳になる女性、劉さんに久しぶりに再会すると、彼女はうれしそうにこういいながら結婚指輪にそっと手を当てた。劉さんは私の友人の教え子だ。彼女は日本の大学への留学を経て4年前に上海で就職した。飲食業界でバリバリと仕事をこなすキャリアウーマンで、常に笑顔を絶やさないステキな女性だ。3年前に職場に出入りしていた男性と知り合い、2年間の交際を経て昨年6月にゴールイン。結婚式を行った際には、ウィーチャットでその幸せそうな記念写真を披露していた。

 「知り合った当初は、単なる職場の関係者という印象しかなかったんです。廊下ですれ違うだけの顔見知りという感じで。でも、同僚が彼に頼まれて私のウィーチャット(中国のSNS)を彼に教えてしまい、それから頻繁に連絡がくるようになりました。私もいつしか彼の誠実な人柄に惹かれて付き合うようになり、結婚することになりました。本当に今、幸せです」(劉さん)

 結婚準備は半年以上前から始まった。劉さんは東北部の吉林省出身。夫は内陸部の河南省出身と、双方の故郷はかなりの遠距離だ。おまけに、どちらも今は上海に住んでいる。同じ上海出身同士ならば1回で済むが、そうでない場合は2回、あるいは勤め先の近くも含めて3回行うこともあるという。結婚式は、田舎に行けば行くほど伝統的なスタイルを維持し、都会であればあるほど簡略化したり、欧米のスタイルを真似したりする。その点は、日本人の感覚とあまり変わらないようだ。

 昨秋、最初に劉さんの故郷、吉林省で結婚式を行った。劉さんはこれを「出閣」と呼んだ。出閣とは「結婚すること。お嫁に行くこと」を指す。結婚式の日取りは2人の生年月日などを見て、占い師が双方にとって最もよい吉日を選ぶのが一般的だ。これは中国のどこであっても、ほぼ変わらない。結婚式当日、通常は新郎が新婦の家に迎えに行くのが習わしだが、劉さんは家族とともにホテルに泊まっていたため、そこで婚車(結婚式の際に使う高級車)に乗ってきた新郎を迎えた。中国語で「親迎」というが、身内が新郎にクイズを出し、それに答えられたら無事、新婦を迎えられるという「お決まりの儀式」があるのだ。

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