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2018年6月1日

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マイク・ポンペオ米国務長官は5月31日、ニューヨークで北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と会談した後に記者会見し、北朝鮮の非核化に向けた協議は「正しい方向に進んでいる」と述べた。ポンペオ長官はさらに、金英哲氏がワシントンへ向かっており、6月1日にもドナルド・トランプ米大統領に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の親書を手渡す予定だと明らかにした。英哲氏は正恩氏の腹心で最も近い側近とされている。

ポンペオ長官は記者会見で、英哲氏との2度の会談で「本当の進歩」を実現したと前向きな姿勢を示した。

さらに、米朝関係は「転換点」を迎えており、「この機会を無駄にするのは、悲劇以外の何物でもない」と述べた。さらに、「世界の方向性を変え」、「平和と繁栄と安全の新時代」を呼び込むことのできる「一生に一度の機会」だと強調した。

一方で北朝鮮・平壌では31日、訪朝したロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、金委員長と会談した。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談開催に、金委員長は応じたという。

北京から中国国際航空機でニューヨークに到着した金英哲副委員長は、米国を訪問した北朝鮮当局者として、2000年に当時のビル・クリントン米大統領と会談した趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委員会第一副委員長以来、最も地位が高い。

ポンペオ長官は30日、国連本部近くで金副委員長と夕食を共にした。

夕食後に長官は報道陣に対して、夕食は「最高」で、「米国牛」が出されたと話した。夕食後には、「ニューヨークで今晩、金英哲氏と良いワーキング・ディナーを一緒にした。ステーキ、トウモロコシ、チーズが出た」とツイートした。

6月12日にシンガポールで予定されている米朝首脳会談は、実現すれば歴史的なものとなる。ドナルド・トランプ米大統領は24日に、北朝鮮の「あからさまな敵対心」などを理由に中止を通告したが、北朝鮮が遺憾の意を示したのを受けて態度を軟化させた。南北首脳会談も急きょ開かれ、米国代表団が軍事境界線上の板門店を訪れ実務者協議を開始するなど、首脳会談実現に向けた交渉が精力的に行われている。会談予定地のシンガポールでも、米朝の実務者交渉が続いている。

板門店では、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が、米国のソン・キム元駐韓大使(現駐フィリピン大使)と会談した。

シンガポールでは、ホワイトハウスのジョー・ヘイギン次席補佐官率いる代表団が、正恩氏の首席補佐官にあたる金昌善(キム・チャンソン)書記室長と、会談のいわゆる「ロジ」(段取りの詳細)を協議しているとみられる。

さらに、ジェイムズ・マティス米国防長官が、1日からシンガポールで始まる「アジア安全保障会議」に出席するため、米国を出発した。同会議は、アジア太平洋地域の安全保障について各国の閣僚などが話し合う毎年恒例のもの。

マティス長官は機内で同行記者団に、米政府はアジア地域の安全保障に引き続き確実に関わっていく、同盟諸国を安心させるつもりだと話した。

「非核化」交渉のポイントは

米国は北朝鮮による大量破壊兵器の完全放棄を求めており、制裁解除や経済支援はその後に提供する方針とみられる。一方で、北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」で何を意味するのかは、はっきりしていない。

金委員長は、自国がひとつ譲歩するごとに米韓も、制裁解除や在韓米軍削減など、何らかの譲歩をするという段階的アプローチを求めていると示唆してきた。

トランプ氏はこの方法を受け入れる可能性を排除していない。

北朝鮮は2006年以降、6回の核実験と度重なる大陸間弾道ミサイル発射実験を重ねてきた。長距離ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化に成功したかどうかは、専門家の間でも意見が分かれているが、理論上は米国本土を核攻撃できる状態に達したことから、トランプ政権は北朝鮮への対応に本腰を入れるようになったとみられる。

国際社会は北朝鮮の輸出を大幅に制限し、北朝鮮への石油精製品の年間輸出量を最大90%削減する経済制裁を相次ぎ発動してきた。今年になって金委員長が融和姿勢を示し、韓国で開かれた冬季五輪に選手団のほか自分の妹を含む代表団を派遣するなど、韓国や米国との交渉に意欲を見せてきたのは、一連の経済制裁による圧力が効いているからではないかとの見方もある。

北朝鮮はさらに、国家としての存続や体制維持の確約を求めている。

北朝鮮は、米国のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)マイク・ペンス副大統領が「リビア方式」に言及したことに強く反発し、これがトランプ氏による会談中止の通告につながった。

ペンス副大統領は金委員長が米国との取引に合意しなければ、北朝鮮は「リビア方式が終わったように終わるしかない」と発言していた。これは、2003年にリビアのカダフィ政権が制裁解除と引き換えに大量破壊兵器の開発放棄を約束し、国際機関の査察を受け入れた後、2011年に政権が崩壊し、最高指導者のカダフィ大佐が殺害された経緯を意味するものと広く受け止められた。

(英語記事 US confident on plans for Trump-Kim talks

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44326286

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