2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2011年4月6日

 ただし、三菱製紙も「2か月分以上の在庫がある」(三菱製紙広報・IR室)うえに、八戸工場が5月中旬より順調に稼動を開始すれば、当面のレジロール不足は回避できる公算が高いと思われる。

災害リスクをどう克服するか

 今後、「万が一、国内の生産量で賄えなくなるのであれば、輸入すればよい」(大手証券会社アナリスト)との見方もあるが、「特殊な紙なので、いざ輸入を増やそうとしても品質の担保が難しく、簡単には増やせないだろう」(大手製紙販売代理店)という声もある。

 一方、「海外の業者も今は足元を見ており、2倍近い価格をふっかけてくることもある」(関係者)というので、注意が必要だ。

 また、日本紙類輸出入組合によれば、「2011年2月の感熱紙の輸出量は約1,165万t」というので、単純にこれをやめてしまえばよいとも思えるが、「取引先のあることなので、簡単にはやめられないだろう」という関係者の声も聞かれる。

 今回の震災では、今のところ運よく致命傷には至っていないが、完全に供給不安が払拭されたわけではなく、災害リスクも抱えたままだ。レジロール不足によるPOSシステムの機能不全が、小売業界全体に与えるダメージの大きさを考えれば、感熱加工の生産ラインを今後はある程度分散していくか、「非常時にはペーパーレスで対応できるPOSシステムを開発する」(前出の鈴木教授)など、災害を見越した仕組みづくりが必要かもしれない。たかがレシート、されどレシートである。

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