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2018年6月5日

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中米グアテマラのフエゴ火山が3日噴火し、非常に高熱の岩、灰、泥が火砕流となり、近隣の町や村を破壊した。現地ではグアテマラ軍の兵士が消防士と協力して行方不明者の捜索を続けている。

グアテマラ当局者によると、公式に確認された噴火による死亡者数は62人に増えた。

数千人が一時避難所に収容されている。

火山学者によると、今回の噴火は終息した。噴火によって、上空10000メートルまで灰が吹き上がった。

噴火は火砕流(非常に速く移動する超高温の火山ガスと火山性物質の混合物)も生み出した。この火砕流は山肌を流れ下り、エル・ロデオやサンミゲル・ロス・ロテスなどの町を飲み込んだ。

ロス・ロテスに住むエウフェミア・ガルシアさんは、買い物をしに歩いていて、火山の噴出物からぎりぎりで逃れたと説明した。ガルシアさんは子供のうち2人の無事を確認したが、残る娘2人、息子1人、男の子の孫1人、さらに親類を探し続けている。

「ここを離れたくはありません。でも戻っても、家族を助けるために私に出来ることは何もない」とガルシアさんは語った。

エル・ロデオから妻や1歳の娘と避難したエフレイン・ゴンザレスさんは、自宅に閉じ込められた4歳と10歳の子供を残してくるしかなかったと話した。

地元住民のリカルド・レイエスさんも、家を諦めざるを得なかったという。「家族と逃げるしか、ほかに何もできなかった。持ち物は家に残してきた。危険が全て去ったので家がどうなっているか見に来たら、何もかもひどいことになっている」。

消防士のルディ・チャベスさんは、噴火の影響を受けた地域で生存者や死亡者を捜索していると話した。

「この一帯から退避しようとしていた時に、家の中に家族全員がいるのを発見した」とチャベスさんは述べた。

「この家族の遺体を運び出そうとしたところ、この一帯は非常に危険だと警告の声が上がった。退避はしたが、ありがたいことに、遺体収容の目的は達成した」

「昼が夜変わった」

グアテマラの山岳救助隊の一員、ホルヘ・ルイス・アルトゥーベさんはBBCに対し、同僚あっちと行方不明者を捜しに山を登っている最中、火山活動が突然活発になったことに気づいたと語った。

アルトゥーべさんは自分の安全ヘルメットに何かが当たった音を聞き、それが雨ではなく石だと気がついた。

「我々は既に下山を始めていた(中略)灰の雲が近づいてくると、昼が夜に変わった。昼まで明るかったのが、午後10時のように暗くなった」とアルトゥーべさんは話した。

火山学者のジャニン・クリップナー博士はBBCに対し、火砕流や、ラハールの名称でも知られる火山泥流の危険性を軽く見てはならないと述べた。

「フエゴは非常に活発な活火山だ。粘度の低い火山物質が堆積している上、火山は雨量の多い地域にある。そのため、豪雨が火山を襲うと、雨が堆積物を押し流して泥流の一部とする。泥流は大量の瓦礫(がれき)や岩石を運ぶ」

「泥流は非常に危険で、人が死ぬ可能性も高い」


<解説>火砕流とは何か?――ポール・リンコン BBCニュースサイト科学編集長

火砕流は、火山ガスと軽石や灰など火山物質の混合物で、非常に速く動く。火砕流は、今回のフエゴ火山のように、火山噴火に伴って発生する一般的な現象で、下流域に住む人々にとっては極めて危険だ。

グアテマラの火山噴火を目撃した人が撮影した動画がユーチューブに投稿されているが、そのいくつかで天候が急激が悪化しているように見えるのは火砕流が理由だ。動画の1つ、橋の上に立つ人が撮影した映像には、不気味な大量のガスと噴火堆積物がフエゴ火山から広がる様子が映っている。

すぐ近くにいた何人かがその速さに気づいたが、火砕流は人々のすぐ近くまできていた。

火砕流の速度は複数の要因によって決まる。火山の堆積物や噴射物の生産率や、斜面の傾きなどだ。しかし、火砕流の最高速度は毎時700キロにもなることが知られている。この速度は長距離商用旅客機の航行速度に近い。

加えて、火砕流内のガスや岩石は200度から700度の間という極めて高い温度になっている。もし流路の真正面にいたら、逃げられる可能性はほとんどない。

紀元79年にイタリアで起きたベスビオ火山の噴火は強力な火砕流を生み、ポンペイやヘルクラネウムといった古代ローマの都市を厚い灰の層の下に埋没させた。

(英語記事 Guatemala Fuego: Search after deadly volcano eruption

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44364950

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