中島恵の「中国最新トレンド事情」

2018年6月8日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)などがある。

定期的に行われている読み聞かせの会(写真提供:ポプラ社)

 もうひとつは出版事業です。中国の出版社との提携出版の形で、04年に蒲蒲蘭絵本館ブランドの翻訳絵本の出版を開始し、06年には初めて中国の絵本作家によるオリジナル絵本も出版しました。07年には日本で大ヒットした絵本『くまくんのあかちゃん』シリーズの中国語版(『小熊宝宝』)も出版。これは累計販売数が約1000万冊を超えました。2014年には蒲蒲蘭絵本館ブランドの絵本は400タイトルにまで増え、中国の方々に広く読まれています。

 2017年の時点で、中国の出版社数は580社以上あります。主に国営の出版社で、そのうち児童書専門出版社は30社以上あります。児童書の市場は今、とても好調なので、一般書の出版社も児童書の出版に乗り出してきているというのが現状です。

――日本では考えられないことですが、それはやはり、一人っ子政策により中国人の子どもに掛ける情熱というか、教育熱心さ、経済的なゆとりなどが関係しているのでしょうか?

北村氏:そうですね。2011年に中国で行われた人口調査によると、中国の0~6歳の子どもの数は約1億3000万人で総人口の約10%でした。2015年に一人っ子政策を撤廃して以降、出生人口は小幅ながら増加しています。国家統計局によると、都市部の家庭では、子どもの教育にかける費用は全支出の35%に上っているといわれており、教育市場規模は1兆元(約17兆円)。もともと中国人は教育熱心ですが、子どもにかける費用は増大しており、最近では、音楽や絵画など、情操教育にも熱心な親御さんが増えてきていると感じます。

 また、近年は中国政府が「全民閲読運動」(国民の素地や知性教養、文化レベルの向上を目指して行っている読書運動)を推奨したり、それと連動するように、図書館建設の推進にも乗り出しています。2020年までに、ほとんどの小中学校が国の規定基準を満たした図書館を設立する、という目標を打ち出していますし、幼稚園でも絵本館や絵本コーナーを設けるところが増えてきています。このように国家を挙げて、良好な読書環境を整えようとしている動きも、出版界にとってよい影響を及ぼしていると思います。

――私も先日、北京の書店や天津の図書館に行き、お父さんやお母さんが小さな子どもに絵本の読み聞かせをしている姿を何度も見かけました。ところで、中国での絵本の販売はどのように行われているのでしょうか?

北村氏:主に2つあり、1つ目は中国の公営書店である新華書店への販売で、これが全体の約20%、2つ目は民営の卸しルートから民営の書店への販売で、これが約10%、残りがネット販売(ネット書店)で約70%です。

――最近、中国にオシャレ系の書店が増えていて、カフェも併設されているなど居心地がいい、と感じることが多いのですが、それは民営の書店ですね?

北村氏:はい。たとえば全国的な書店チェーンの『西西弗』や『言几又』は、内装やディスプレイがとてもオシャレで、若者の間などで大変人気があります。カフェを併設したり、文房具や雑貨を書籍と一緒に販売する複合型書店のスタイルは欧米から入ってきたもので、今、中国では沿海部だけでなく、内陸部にもこのようなオシャレな書店がどんどん増えてきています。

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