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2018年6月6日

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ジョナサン・ジュレイコ BBCスポーツ(ローラン・ギャロス)

テニスの全仏オープンは5日、パリのローラン・ギャロスで男子シングルス準々決勝が行われ、世界ランキング72位のマルコ・チェッキナート(イタリア)が元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を6-3、7-6、1-6、7-6で破り、準決勝に進出した。ノーシードの伏兵による勝利に、競技場は驚きに包まれた。

試合中に首の治療を受ける場面があった31歳のジョコビッチは、第4セットのタイブレークで相手のマッチポイントを3本しのぐ粘りを見せたものの、自分も3本のセットポイントを決めきれず、敗退した。

チェッキナートは25歳。今大会を迎えるまで、テニス四大大会(グランドスラム)本戦で1勝もしたことがなかった。

チェッキナートは8日に行われる準決勝で、ドミニク・ティエム(オーストリア)と対戦する。チェッキナートとティエムは、どちらも勝てば初のグランドスラム決勝進出となる。

今大会第7シードのティエムが全仏オープン準決勝に進出するのは3回目。準々決勝ではアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)をストレートで下した。ズベレフもジョコビッチと同じく、準々決勝ではけがに苦しんだ。

チェッキナートは2016年、八百長疑惑で出場停止処分を受けたが、後に無実との主張が認められ処分は解除された。それからわずか2年で、イタリア人選手として1978年以来のグランドスラム準決勝進出を果たした。

またチェッキナートは、1999年に世界100位で全仏オープン準決勝に勝ち上がったアンドレイ・メドベデフ(ウクライナ)以降で最も低いランクでの準決勝進出者ともなる。

チェッキナートは今大会、3回戦で第10シードのパブロ・カレノ・バスタ(スペイン)、4回戦で第8シードのダビド・ゴファン(ベルギー)を連破した。今大会の勝利で「人生が変わった」とチェッキナートは語っている。

チェッキナートは「もしかしてまだ寝ているのかもしれない。驚きだ、信じられない。ノバク・ジョコビッチをローラン・ギャロス(全仏オープン)の準々決勝で倒すなんて信じられないし、とても嬉しい」と話した。

マッチポイントを手にした瞬間については、「自分の返球がラインに当たったのを見た時が、人生で最高の瞬間だった」と述べた。

ジョコビッチ、全仏で散る

ジョコビッチは今大会のこれまで10日間、勢いに乗っていた。大会前の予想では優勝候補と考えられていなかったにも関わらず、合計で12回目となる準々決勝進出まで、わずか1セットしか落とさなかった。

昨年はひじのけがで限られた時間しか戦えず、世界ランクは22位まで下がり、その結果、今回の全仏オープンでは低いシード権しか与えられなかった。

それでも、ジョコビッチが伏兵チェッキナートに敗れるとは大勢にとって予想外だった。チェッキナートはジョコビッチのモンテカルロの自宅で、しばしば練習相手を務めてきた仲だ。

プロツアー初対戦の準々決勝で、ジョコビッチは圧倒的有利と予想され、2016年全米オープン以来のグランドスラム準決勝進出を期待されていた。

しかし、第1セットで放ったウィナー(相手のラケットに触れられずに決まる打球)はわずか3球で、同セットでチェッキナートのサービスゲームは1度も破れずというスロースタートの代償を、ジョコビッチは払うことになった。

最終的にはジョコビッチも調子を上げ、おかげでこの準々決勝は今年の全仏オープン最高の熱戦になった。

しかし、ジョコビッチは重要な局面で何度かチャンスを逃し、これが最終的に勝敗を分けた。特に、試合を決めた第4セットのタイブレークでのミスは大きかった。元世界1位はかつての圧倒的な地位にいずれ復活するのかどうか、疑う人もいるだろう。

「マルコのプレイは素晴らしかった。見事だった。最高のパフォーマンスを称えたい」とジョコビッチは述べた。

「試合の最初から苦しんだ。残念ながら、調子が出るまでに時間がかかったし、序盤から小さなけがに悩まされた」

「第4セットの4-1というチャンスを生かせず、取れると思っていたいくつかのブレークポイントをものに出来なかったのは残念だ」

チェッキナート人生最大の勝利

今大会で躍進するまで、多くのテニスファンにとってチェッキナートと言えば、2016年の八百長疑惑で1年半の出場停止処分を受けた選手に過ぎなかった。

処分は後に12カ月へと短縮、最終的には完全に解除され、チェッキナートは男子プロテニス協会(ATP)のツアーへの参戦継続を許された。

チェッキナートは全仏オープンではその問題について語らず、テニスに集中することを選んだ。そしてジョコビッチ相手に、チェッキナートのテニスはしばしば驚くべきものだった。

見事な打球を決める才能の片鱗のほか、粘り強い守備を何度も見せた。3度の相手側セットポイントの危機を切り抜けて第2セットのタイブレークに勝利し、2セットを連取した。

しかし、ジョコビッチも試合中に調子を上げ、チェッキナートはリズムと集中を失い始めた。第4セットの初めには、許可なくコートの外に出たとして1ポイントのペナルティを科された。

ジョコビッチは第3セット冒頭から14ゲーム中11ゲームを勝ち取ったが、チェッキナートもどうにか落ち着きを取り戻し、ジョコビッチのサービスゲームをブレーク(相手側にサーブ権のあるゲームで勝利すること)に成功。第4セットはタイブレークに持ち込まれた。

ドラマはそこで終わらなかった。

タイブレークには、全てが詰まっていた。マッチポイントもセットポイントも決まらず、激しい状況変化に、スザンヌ・レングレン・コートの観衆は興奮し息をのんだ。

結果予想などあり得ないほど目まぐるしいせめぎ合いの末、最終的にチェッキナートのバックハンド・リターンが、立ち尽くすジョコビッチの左を通り過ぎた。

チェッキナートは興奮したままクレー・コートに倒れこみ、赤土のコートに両腕を広げて、人生最大の勝利を喜んだ。

(英語記事 French Open 2018: Marco Cecchinato shocks Novak Djokovic to reach semi-finals

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44379465

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