2024年4月25日(木)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2018年6月12日

五感と直観のトランプ交渉術

 カナダのシャルルボワで行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)終了後の記者会見で、トランプ大統領は北朝鮮が核兵器を手放すかか否かは、「最初の1分でわかる」と自信を持って語ると、記者団が質問を投げかけました。

 「どうやってわかるのですか」

 トランプ大統領はこの質問に対して、即座にこう回答しました。

 「感覚です。それが自分のやり方です」

 五感と直観で判断できるというのです。相手の表情、握手の感触及び声のトーンなどに注意を払いながら、トランプ氏は金氏の非核化に対する本気度を見極めるつもりです。言い換えれば、五感を働かせて金氏の非核化に関するコミットメント(関与)が高いのか、判断を下すということです。

 具体的に述べましょう。握手の感触で重要な点は、金氏から自尊心が伝わってくるか否かです。トランプ氏は、交渉のテーブルで非核化について語る金氏の声のスピードの変化にも注視し、本気度の判断基準にするでしょう。

 トランプ大統領は、会談の準備をあまり重視しない傾向があります。準備をし過ぎると、かえって相手の予測不可能な言動に対して、柔軟性に欠き、対応できない場合があると考えているフシがあります。トランプ氏は口癖のように、「様子をみよう」と言います。米朝首脳会談では、金氏の言動を観察しながら、五感をフルに活用して対処するのでしょう。


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