前向きに読み解く経済の裏側

2018年6月18日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 拙稿「銀行預金はリスク資産だと認識せよ」で示したとおり、インフレを考えれば預金もリスク資産です。インフレへの備えとしての王道は株式投資(長期保有)と米ドル保有なのでしょうが、株もドルも値下がりが怖いから嫌だという人が多いでしょうから、今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、元本保証でインフレに強い国債をご紹介しましょう。

(G0d4ather/iStock)

個人向け国債は元本保証

 個人向け国債と呼ばれるものが3種類発行されています3年物、5年物、10年物で、いずれも銀行でも証券会社でも買えます。満期まで持っていれば元本が戻って来て、金利も受け取れますが、途中で換金する(政府に買い取ってもらう)ことも可能です。その場合には、最後2回分の利払い額を返還する必要がありますが、利子がもらえないだけで元本割れをするわけではありません。

 普通の国債は、途中で換金しようとすると額面以下でしか売れない場合があり、損失を被る可能性がありますし、昨今のような局面で購入するとその可能性が決して小さくありませんが、個人向け国債は元本割れの可能性が無いので、安心です。銀行預金も預金保険機構が保証しているので安心ではありますが、国が発行している国債なので、一層安心だ、ということも言えるでしょう。しかも、銀行預金より金利が高いのです。いずれも現在の金利は0.05%となっています。

個人向け国債10年物は金利が変動

 個人向け国債の3年物と5年物は、発行された時に金利が決まっていますから、インフレに弱い国債です。しかし、10年物は、金利が変動するので、インフレに強いのです。その仕組みは複雑ですので、解説していきましょう。

 10年物国債は、半年ごとに金利が支払われます。初回は発行から半年後で、その時の利払額は金利0.05%で計算されます。2回目の利払いは1年後ですが、その利払額は、半年後の長期金利(10年物国債の利回り)の0.66倍の利率で計算され、その後も同様の計算がなされるのです。0.66倍しか受け取れないのはチョット不満ですが、それでも10年物はオススメです。その理由は、人々がインフレを予想しただけで長期金利が上がるからです。その理由は後述します。

 つまり、長期金利が上昇していけば、毎回受け取れる金額が増加していくわけです。後述のように、インフレになると長期金利は上昇しますから、「個人向け国債10年物は、インフレになると受け取れる金利が増える国債だ」と言って良いでしょう。インフレで金融資産が目減りする時に多くの金利が受け取れるのは、リスク対策として大変ありがたいと言えるでしょう。

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