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2018年6月20日

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パトリック・ジェニングス BBCスポーツ(モルドビア・アリーナ)

サッカーの日本代表は19日、ロシアのサランスクで行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)グループHの初戦で、コロンビアに2-1で勝利した。コロンビアは試合開始早々に退場者を出して10人となり、試合途中にはエースのハメス・ロドリゲスが交代出場したが、日本に敗戦。悪夢のようなW杯の幕開けとなった。

試合開始から3分足らず、香川真司がゴール左を狙って放ったシュートをコロンビアのカルロス・サンチェスが手で止めてしまい、ハンドの反則を宣告に。日本にペナルティキック(PK)が与えられ、C・サンチェスは一発レッドカードで退場となった。

C・サンチェスが受けたレッドカードは今大会初。W杯の歴史でも2番目に早い、2分56秒での退場だった。香川はPKを自ら決め、1-0とした。

日本は乾貴士と大迫勇也を中心に序盤を優勢に進め、リードを広げるのも時間の問題かと思われた。しかし前半39分、ファン・キンテロが跳び上がった日本選手の壁の下を通り抜ける技ありのフリーキックを決めて1-1の同点に。ホセ・ペケルマン監督率いるコロンビアが、前半終了6分前に試合を振り出しに戻した。

これまでのW杯、先に得点を許した試合(10試合)で勝利したことのないコロンビアは後半、体調が十分でないと判断されスターティングメンバーから外れていたスター選手のハメス・ロドリゲスを投入した。

しかし日本は73分、本田圭佑が蹴ったコーナーキックを大迫が頭で決め、2-1と再びリードを広げた。

ロドリゲスは試合で結果を残そうと奮闘した。日本は1人多い数的優位を生かし想像されたとおりにボールを支配したが、試合終盤、コロンビアに大きなチャンスが訪れた。

78分、ジェフェルソン・レルマがかかとで出した巧みなパスをスペースで受けフリーとなったロドリゲスは、ゴールの枠を捉える強いシュートを放ったが、ボールは勇気を持って体を投げ出した大迫に当たってクロスバーの上に外れた。

日本は欧州開催のW杯で初勝利。また、W杯本大会で南米のチームに勝利したのも初めてだった。

前回の2014年ブラジルW杯では準々決勝まで進んだコロンビアにとっては、ポーランドとセネガルを相手取る2つの大切な試合を残して、散々な敗北となった。

日本、夢のようなスタート

試合前、日本に勝利のチャンスはないとしていた人がいたとしても無理はない。

欧州開催のW杯や南米チームとの対戦における日本代表の歴史だけでなく、最終準備でも、18日朝に滞在するホテルで警報機が誤作動したことなどもあって混乱した。

サランスクに詰め掛けた数万のコロンビアファンは確かに、自信ある雰囲気だった。もしかすると自信過剰だったかもしれない。

しかし、ピッチ上では、日本代表はこれ以上は考えられないほど良いスタートを切った。ダビンソン・サンチェスを振り切った大迫のシュートはダビド・オスピナの足に当たって止められたものの、こぼれ球を拾った香川のシュートは明らかに、かつて英プレミアリーグ・アストンビラに所属していたC・サンチェスの手で止められた。

香川は冷静に、チームの今大会初ゴールを決めた。日本がW杯の試合中にPKで得点した初めてのゴールだった。

その後もいくつかの不注意な瞬間や無駄の多いシュートはあったものの(14本のシュートを放ち、枠内に飛んだのは5本だった)、西野朗監督率いるチームは、後に重要な意味を持つかもしれない勝利を手にするのに十分な働きをした。

予選で2度しか負けなかったにも関わらず、ボスニア人のバヒド・ハリルホジッチ前監督が4月に解任されたことには疑問の声もあったが、西野監督と選手は今、足場となるものを手にした。

コロンビアの敗北は重大なものになる可能性

現在スペイン・リーガエスパニョーラのサッカークラブ、エスパニョールに所属するカルロス・サンチェスは、少なくとも歴史書で1番上に書かれることはない。W杯で最も早くレッドカードを受けた選手という不名誉は、1986年メキシコW杯の対ウルグアイ戦で、54秒という早さで退場となったウルグアイのホセ・アルベルト・バティスタが保持し続ける。

しかしこの敗北は、厳しいグループに入ったコロンビアにとって重大なものになるかもしれない。

レッドカードが最大の要因だが、ハメス・ロドリゲスがスターティングメンバーから外れたことや、ラダメル・ファルカオが2度の小さなチャンスでやや不確実なシュートを放ったことも大きかった。

コロンビアはそれでも、この2人の大スターに頼らず、自分たちを試合に引き戻した。素晴らしいゴールで国際舞台に復活したのはキンテロだった。

キンテロは3月、3年ぶりに代表復帰を果たした。コロンビアが初めて準々決勝に進出した2014年ブラジルW杯以来、キンテロは所属クラブで自分の道を見失っていた。

キンテロは、W杯2大会で得点した初めてのコロンビア人選手となった。またキンテロのゴールは、セットプレイ(コーナーキックやフリーキックなど、試合開始時にボールをセットして行うプレイ)を直接決めた今大会で4点目のゴールとなった。大会が始まってわずか6日で、これまでのW杯で記録されていたセットプレイからの直接ゴール3点という記録を超えた。

マン・オブ・ザ・マッチ - 大迫勇也(日本)

「まだお祝いはとっておく」――試合後の監督コメント

日本代表 西野朗監督: 「選手たちは序盤から積極的で、非常に良く働いてくれた。まだ1勝、勝ち点3を挙げただけなので、お祝いはとっておく」

「序盤から、非常に積極的にできたと思う。もちろん選手の数的優位もあった。ただ、ハーフタイムには『単なる選手の数というだけだ。動き続け、ポジショニングで優位に立ち、コロンビアの前線の選手たちのスタミナを奪え』と指示した」

「後半は試合とボールをより支配できた。それが2点目に繋がった」

コロンビア代表 ホセ・ペケルマン監督: 「全く違う結果を予想していた。初戦を勝利で飾りたかった」

「膨大な努力をし、得点を決めた後、疲れてしまって敗北した。今、我々は明らかな痛みを感じている」

「我々は疲れていた。2人の元気な選手の投入を試みたが、ボール支配率を回復するのは非常に難しかった。日本は機会を生かした」

「この結果全ての前向きな側面は、底力を発揮するチームをみられることだ。この初戦の敗北を、次の2試合で取り戻せる」

歴史を作った日本――統計から

  • 日本はW杯で南米のチームを破ったアジア初のチームとなった(対戦成績は18戦で1勝3分14敗)
  • 今大会は1974年以来、南米の4チームが初戦で勝利できなかった初めてのW杯になった
  • コロンビアがW杯で戦った19試合で、ゴールがなかった試合はない。W杯で0-0以外の試合を経験した数がコロンビアより多いのは、米国(33試合)とオーストリア(29試合)のみ
  • 本田圭佑は1966年以来、W杯3大会でアシストを記録した初のアジア選手となった
  • 川島永嗣(35歳と91日)は、W杯本大会の試合に出場した日本選手の中で歴代最年長となった

(英語記事 World Cup 2018: Japan beat 10-man Colombia in Group H

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44543661

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