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2018年6月21日

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ドナルド・トランプ米大統領は20日、不法移民の「家族を一緒に」収容するとする大統領令に署名した。

国内外からの圧力や強い反発を受け、入国書類なしで米国境を越えた親子を別々に収容する自らの政策を翻した格好だ。

トランプ大統領は、親が不法入国で収容され刑事裁判にかけられている間、親から引き離された子どもたちの姿を見て気が変わったと話した。

しかし大統領令には、これまでに引き離された親子についての記載はなかった。

米移民当局は、5月5日から6月9日までに2342人の子供が2206人の親から引き離されたとしている。

トランプ大統領は署名式で「家族を一緒にいさせることが目的だ」と話した。

また、「家族が引き離されているのを見たくない」と語った一方、不法入国者を刑事裁判にかける「ゼロ寛容政策」は継続すると述べた。

今回の大統領令では以下のことが決まった。

  • 裁判中、移民家族は共に収容される
  • 家族が関わる移民案件を優先的に処理する
  • 移民の子供を収容できる期間を定めている裁判所命令の緩和を求める

トランプ大統領は、移民の家族を引き離す政策をやめるよう大統領に求めていたとされるメラニア夫人と娘のイバンカさんが「強い思いを抱いていた」と話した。

「心のある人は誰でも、強い思いを持ったようだ。家族が離れ離れにされるのを見たくない」

20日の署名式には、マイク・ペンス副大統領とクリステン・ニールセン国土安全保障長官も同席した。

トランプ大統領は先に「大統領令では(移民政策の改革は)できない」と話し、議会に改革法案を可決するよう求めていた。

ポール・ライアン下院議長は、下院は21日にも「家族を一緒にする法案」に投票すると話した。

ライアン議長は法案の詳細は明らかにしなかったが、未成年時に正式な入国手続きなしで入国し成人した「ドリーマーズ」と呼ばれる移民に関する問題を「とても簡潔に」解決すると話した。

子供たちが収容されているのは?

収容房: 子どもたちはまず、米税関・国境警備局(CBP)施設内の、金網で区切られた区画に収容される。法律では、子どもはこの場所に最大3日間収容される。

収容センター:その後、子どもたちは保険福祉省の難民再定住室(ORR)が管理する100カ所あまりの施設のいずれかに移管される。米政府は先に、テキサス州でスーパーマーケットのウォルマートを改築した、10~17歳の男子を収容する施設をメディアに公開した。ベッドのほか、教室やゲーム機なども備わっていた。

「乳幼児シェルター」:AP通信は、親と引き離された乳幼児はテキサス州に3カ所ある「乳幼児シェルター」に収容されると報じた。CBP高官は、通常5歳以下の「乳幼児」を収容するかどうかは、国境警備隊の裁量によると話している。

テント・キャンプ: 米政府は先に、テキサス州トルニヨーに、子どもたちを収容するテントの仮設住宅を設置した。

親戚や里親の家庭:米国法では、収容された移民の子どもたちは「一刻も早く」親戚や里親の家庭に引き取られなければならない。しかしORRによると、このプロセスは実際は2カ月かかっている。

どうやって親と再会する?米移民税関捜査局(ICE)は、不法入国した親が、釈放された後にかけるホットラインを設置している。しかし、ICEの元局長は、家族によっては離別が「永久的」になる場合があると話した。

今何が起きている?

トランプ大統領の大統領令の下、不法入国した親子は今後、引き離されることなく一緒に収容される。

しかし「フローレス合意」として知られる21年前の裁判所命令によって、移民の子どもの収容は20日までと定められている。

大統領令では、子どもたちを長く収容できるよう司法省にフローレス合意の緩和を求めているが、法律が変わらなかった場合の措置は不透明のままだ。

20日以内にフローレス合意の変更が認められなかった場合、トランプ政権は収容されている移民を代理にしている移民活動家らとの法廷闘争にもつれこむ可能性がある。

ジェフ・セッションズ司法長官の相談役を務めるジーン・ハミルトン氏は、「その場しのぎの政策だ」と話している。

また大統領令では、こうした施策の開始日やスケジュールが示されていないほか、すでに家族と引き離されて収容されている2000人以上の子どもたちが再会できるかにも言及していない。

アレックス・アザー保健福祉長官は、保険福祉省は収容中の子どもたちと家族の再会を進めると話したが、日程などは明らかにしなかった。

AFP通信によると、ある保険福祉省の高官は、現状そういったシステムはないと話している。


トランプ大統領の降参 ―アンソニー・ザーカー、BBCニュース、ワシントン

何日もの間、トランプ政権の面々は、自分たちは法律を守っているだけで、大統領の言葉を引用して、不法入国に対する「ゼロ寛容」政策は「子どもたちを引き離さなければならない」ものだと主張してきた。

批判する人々は、トランプ氏が一方的に親子を引き離す悲痛な状況を作り出したのだから、一方的にそれを修正できると反発していた。

今回の大統領令の発布により、トランプ大統領は彼らの言い分を事実上認めた格好だ。

今後は、不法入国した人々の立場が裁判所に委ねられている間も家族を共に収容しておくという政府の決断に対して裁判が起き、戦いは法廷に移るだろう。

すでに困難な中間選挙に直面している共和党にとって、政治的にはより快適な戦場だ。


(英語記事 Trump reverses migrant separation policy

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44557427

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