2024年4月19日(金)

WEDGE REPORT

2018年6月27日

 テクノロジストではなくEUエリートが考え出したGDPRは、プライバシーや人権が強調され、サイバーセキュリティーやイノベーション、ビッグデータや人工知能(AI)開発の競争力、医療や地球温暖化対策への活用、商業上の利益といった包括的な視点を欠く。今後、欧州司法裁判所によってどのように解釈されるのか予想もつかないのだ。「21世紀の通貨」と言えるデータも、人や金、情報と同じで規制より自由を好む。データはデータを求めて集まってくる。規制優先のEUはデータから嫌われてスキップされる恐れが十分にあるのだ。

 英リスクマネジメント会社ラッセル・グループのスキ・バシ最高業務責任者はこう語る。「EUの地域的なアプローチに米国や中国がどのように反応するのか世界は注意深く見守っている。GDPRをめぐる今後の5年の試金石はデータ保護の黄金律となるのか、それともサイバー空間を分断させるデータ保護主義の引き金になるのかだ。答えは2、3年のうちに出る。私は『データ冷戦』が勃発すると予想する」。

現在発売中のWedge7月号では、以下の特集を組んでいます。
■個人情報ビジネスの功罪
文・加谷珪一、木村正人、小向太郎、Wedge編集部
PART 1 丸裸になるあなたの生活 個人データビジネスに浸かる日本
PART 2 買い物客を画像解析 小売が挑む〝売り場革命〟
PART 3 巨大IT企業が狙う生体情報 病状や余命まで推測される!?
PART4 データ保護主義に走ったEUが迎える〝末路〟
PART5 健全な事業発展のためにも本人の「意思反映」の拡大を

  
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◆Wedge2018年7月号より


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