山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2018年6月26日

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EV(電気自動車)はレアアースを爆食いするのか?

中国のEV最大手BYD(Photo by Zhang Peng/LightRocket via Getty Images)

 一方、今回の会議で期待の集まった分野はEV用に利用されるレアアース材料の話題であった。ご承知のようにフランスとイギリスが2040年までにガソリン車の販売を禁止してEVのみにすると発表したことを受けて中国も近い将来ガソリン車を禁止すると発表した。中国政府はEV生産に対して様々の優遇措置を設けて国内生産を促進するとしている。そのために外資系メーカーの生産規制の緩和計画も発表しテスラ社も独資で中国におけるEV生産を決定した。
 
 中国政府はEV車の普及のために補助金制度を決定し、過去5年間で約1900億元(約3.2兆円)をばらまいた。17年9月には双積分政策(EV生産義務)を決定し、国内部品メーカーの育成目的で外資系のリチウムイオン電池の参入を規制した。その結果、中国のEV車の販売台数は13年の1.7万台から17年には77.7万台に伸びた。

 今や世界のEV車メーカーのトップはBYD(17年実績は10.9万台)で、第2位が北京汽車(同10.3万台)第8位が栄威(同4.5万台)、第10位が知豆(同4.2万台)と中国ブランドが4社もランクインしており世界生産の5割以上を占めている。

 世界中がEVシフトを指向している訳でだからEVに使われる電池(EVの半分以上の重量比と価格比)とモーター用のレアアース磁石の今後の需要が飛躍的に伸びることは明らかである。

 無論、レアアースを極力使用しないようにする3R運動(Reduce Reuse Recycle)の技術的開発は進んでいる。例えば、トヨタはEV車に使うネオジムやジスプロシウムの使用量を大幅に削減したモーター用磁石を開発した。その代替材料として安価で資源量の豊富なランタンとセリウムを使う計画も発表している。今後も代替技術への努力は進むことが予見されるが、時代の流れはガソリン車からEV車へのシフトであり、それを止めることはできないと見るべきだ。

2018年には価格上昇はしないが2019年には大いに期待が持てる

 結論を先に言うと、EVのブームは一過性でない。さらにIoT時代の幕開けはすでに始まっているから、レアアースの新規需要が爆発的に起こるのは時間の問題であると考えられる。また、すでに価格上昇が始まっている他のレアメタルコモディティーがけん引役となって2019年にはレアアースの市場の回復も表面化してくると予見される。

 レアアースの余剰在庫と中国政府による環境規制問題、レアアース資源の不正採掘や密輸問題が政府方針の強化により解決の方向にあることを考慮すると多少の時間差はあるがレアアース市況の回復は大いに期待できる。そしてEV市場の拡大とIoT時代の本格的到来が期待される中でレアアース市場の未来は明るいと予想している。

  
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