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2018年6月25日

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24日に投開票されたトルコの大統領選・議会選で、選挙管理委員会は25日未明、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(64)が勝利したと発表した。

サディ・ギュベン選管委員長は、「有効票の絶対過半数を獲得した」と述べたが、さらに詳しい内容は明らかにしなかった。

現地の国営メディアは、開票率99%の段階でエルドアン大統領の得票率は53%で、次点のムハレム・インジェ氏は31%となったと報じた。

野党はまだ正式な敗北宣言を出していないが、「結果いかんにかかわらず」民主主義運動を継続するとしている。

野党は国営メディアが報じた選挙結果に疑問を呈していた。最終的な結果は29日に発表される予定。

近年珍しく激しい選挙戦となった今回の選挙を制したエルドアン大統領は、施行が予定される新憲法の下で大幅に拡大した権限を得る。

エルドアン大統領は25日午前3時(日本時間午前8時)から首都アンカラにある与党・公正発展党(AKP)本部のバルコニーで勝利宣言し、「私の8100万人の一人ひとりが今回の選挙の勝利者だ」と語った。

野党・共和人民党(CHP)の大統領候補インジェ氏がジャーナリストに送信したメッセージで敗北を認めたとの情報があるが、確認されていない。

インジェ氏は24日に国営のアナトリア通信の得票率をめぐる報道で「操作」があったと非難していた。

インジェ氏は25日午後12時に声明を出すとツイートした。

BBCのセリン・ギリット記者はツイッターで、「エルドアン大統領はバルコニーからの演説をするためアンカラに向かっている。最大のライバル、ムハレム・インジェ氏はついさっき、記者に送ったワッツアップのメッセージで『公正な競争じゃなかったが、エルドアン氏が勝利したと認める』と敗北を認め、あす声明を出すと伝えたとの情報がある」と投稿した。

https://twitter.com/selingirit/status/1011004666832924673

大統領選にはエルドアン氏とインジェ氏のほか、4人が立候補したが、3位の得票率8.4%をはじめ、獲得した票は少ないとみられる。

選挙結果が意味するのは?

エルドアン大統領は、新憲法の下で権限を大幅に拡大させる。憲法改正は昨年の国民投票で賛成51%の僅差で承認され、大統領選後に施行される。

拡大された権限には以下が含まれる。

  • 直接、政府高官を任命
  • 司法への介入
  • 厳戒令の宣言

首相職も廃止される。

大統領権限の拡大によって1人に与えられた権力が過大になる懸念や、トルコにはフランスや米国などの大統領に対する三権分立が欠けていると批判する向きも一部にある。

エルドアン大統領は、経済問題に対処し、トルコ南東部で活動するクルド人反政府勢力を負かす上で権限の拡大が必要だと主張している。

エルドアン大統領は勝利宣言の中で、トルコがテロ集団により一層厳しく対処し、難民が帰国できるため「シリアの国土の解放」に今後も取り組むと語った。

イスラム主義政党を率いるエルドアン大統領は、2014年に大統領に就任する前に11年間首相を務めた。新憲法の下でエルドアン大統領は、2期目が終わる2023年以降も、3期目を務めることが可能になり、2028年まで政権の座にとどまる可能性がある。

議会選の結果

エルドアン大統領は、定数600の議会で、AKPが主導する連立与党が過半数を獲得したと述べた。

同大統領は「トルコは民主主義の教訓を世界に与えた」と語った。

国営アナトリア通信によると、議会選では、開票率99%の段階でAKPが42%の得票率で第1位。連立を組む民族主義者行動党(MHP)は11%を獲得した。最大野党の共和人民党(CHP)は23%を獲得した。

少数民族クルド人が中心の国民民主主義党(HDP)の得票率が、議席獲得の条件となる10%に達したことは、クルド系の有権者を喜ばせる結果だ。HDPは64議席を得、野党第2党となる。

クルド系住民が多数を占めるトルコ南東部の都市ディヤルバクルでは選挙結果は伝えられるなか、花火が打ち上げられた。

HDPが立てた大統領候補、セルハッタン・デミルタス候補はテロ容疑で厳重に警備された刑務所に入れられている。デミルタス候補は容疑を強く否定している。

選挙は公正だったのか

投票所の付近は厳戒な警備が敷かれた。事前には、投票者に対する脅しや不正選挙を懸念する声が出ていた。

トルコの選挙管理委員会はすでに、シリアと国境を接する南部ウルファ県で不正が行われた疑いについて調査を行うと表明している。

国営放送によると、投票率は87%弱と高かった。

インジェ氏は、公正な開票がされるのを確かめるためアンカラの選挙管理委員会本部で一夜を過ごすと語っていた。インジェ氏はツイートで、選挙を監視している人々に投票箱から離れないよう呼びかけた。

人権擁護活動家らは、メディアはすべての勢力について報道することを許されていないと述べている。トルコの人権を監視する複数の団体は、エルドアン大統領の統治下、トルコは世界で最も多くのジャーナリストたちが投獄された国になったと指摘している。

エルドアン大統領は、「結果に疑念を示し、自分たちの失敗を隠すために民主主義に傷を付けるような者はいないことを期待する」と語った。

選挙の主な争点

最大の争点は経済だ。トルコの通貨リラの為替レートは急落し、国内のインフレ率は約11%となっている。

テロリズムについても盛んな議論がされた。トルコではクルド人武装組織やイスラム政権主義の「イスラム国」(IS)による攻撃が相次いでいる。

エルドアン大統領の対立候補たちは、エルドアン大統領がトルコ市民の人権を損ない、権威主義的な統治を推し進めてきたと非難した。

2016年7月に軍の一部によるクーデター未遂事件が起きて以来、エルドアン大統領は権力を拡大させてきた。クーデター未遂以来、トルコには戒厳令がしかれており、公務員や軍関係者10万7000人が職を解かれた。投獄された5万人以上が未決のままの状態に置かれている。

インジェ氏の活発な選挙運動によって、抑圧されてきた野党勢力には活気が戻ったが、エルドアン氏支持の圧倒的な数に勝つことはできなかった。

BBCのマーク・ローエン・トルコ特派員はツイッターで、「トルコの半分の一方はまたもや無敵を誇っている。ほかの人々は落胆している」とコメントした。

(英語記事 Turkey election: Erdogan wins re-election as president

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44598408

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