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2018年6月26日

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米税関・国境警備局(CBP)のケビン・マカリーナン局長は25日、子供連れで不法入国した移民に対する刑事裁判を一時的に停止したと発表した。

マカリーナン局長はテキサス州で記者団に対し、移民の起訴は先週から停止されていると述べた。ドナルド・トランプ米大統領が先に署名した、移民の家族を引き離さないとする大統領令に基づいた措置だと説明している。

しかしトランプ大統領は、子供を引き離す代わりに、移民の家族は一緒に収容するべきだと示唆していた。

乳幼児まで親から引き離して収容する対応に世間の非難が高まったため、大統領は20日、「家族を一緒に」収容するよう指示する大統領令に署名した。

マカリーナン局長は、不法移民に厳格に対処するトランプ政権の「ゼロ寛容」戦略はなお有効だとしているが、同局長が出した指示はこの政策をどっちつかずのものにしている。

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マカリーナン局長は、不法移民の子供は大人と同じ施設に収容できないため、米当局が親子を引き離さないと決めた以上、その親を刑事裁判にかけることはできないと話した。

またAP通信によると局長は、CBPと司法省は子供と引き離さずに親を起訴する方法を考えなければならないと述べた。

マカリーナン局長の決定により、米国の移民政策はもっぱらオバマ前政権下の方針に戻る方向となった。

オバマ政権では、渡航許可証を持たず子供連れで入国しようとする移民については、収容施設に入れず、裁判所への召喚命令を出すだけだった。

トランプ大統領は以前から繰り返し、「キャッチ・アンド・リリース」政策に失望したと発言していた。トランプ政権は今年4月から、成人の不法入国者を刑事訴追すると共に、子供を別の場所に収容していた。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は25日、現実問題として米国には、渡航に必要な書類を持たずメキシコ国境を越えてくる全ての家族を留置するだけの施設がないと話した。

「方針を変えたわけではない。ただ資源が足りなくなった」

米国防総省はこの日、テキサス州のフォート・ブリス陸軍基地とグッドフェロー空軍基地を移民の一時的な収容施設として使うことを認めた。

しかしジム・マティス国防長官は、両基地で移民家族が一緒にいられるのか言明しなかった。

米メディアによると、うち1カ所では家族を、もう1カ所では成人の付き添いなしで入国した証明書を持たない未成年を収容するという。

一方でジェフ・セッションズ司法長官もこの日、ネバダ州リノで行われた学校常駐警官の会議で、移民に対する厳しい態度を示した。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、セッションズ長官は成人の不法入国者を起訴しなければ、「国民のためにならない」と話した。

また、国境管理を緩くしてしまえば、「もっと多くの大人がもっと多くの子供を不法に連れてくるようになる」と指摘した。ただし、トランプ政権は「家族を引き離さないよう、全力で努力する」と述べた。

移民家族の現状は?

5月に親から引き離され、収容房や改築倉庫、砂漠のテント、里親家庭などに預けられた2000人以上の子供について、米政府はいまだに親との再会を実現していない。

米自由人権協会(ACLU)は25日、カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所に対し、必要書類のない移民の親子を引き離さないよう、政府への差し止め命令を請求した。

ACLUは、先の大統領令には「抜け穴」があると批判している。

ACLUが提出した裁判書類には、国境当局に引き離された子供の居場所が分からない、あるいは連絡が取れていないという、大勢の親たちの訴えが含まれている。

ACLUの差し止め請求に含まれる供述の中にはたとえば、「E.J.O.E.」のイニシャルで書かれている親が、難民申請をすれば8歳の息子と再会できると政府に言われたと証言している。しかし、この女性は息子と再会することなく、国外退去させられたという。

(英語記事 US relaxes 'zero tolerance' on migrants

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44610371

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