世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月3日

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 2018年5月31日、世耕弘成経済産業大臣は、米国のロバート・E・ライトハイザーUSTR 代表及びセシリア・マルムストローム欧州貿易担当委員とともに、フランス・パリで、第3回三極貿易大臣会合を行なった。会合のあと、「日米欧三極貿易大臣会合共同声明」が発出された。その要点を、紹介する。

(whilerests/Serhii Brovko/iStock/Getty Images Plus)
・三閣僚は、第三国における非市場志向の政策について懸念を表明し、現在の措置について議論し、近い将来に実施される可能性のある措置について議論した。

・三閣僚は、いかなる国も、例えば、JV 規制、外国出資規制、行政審査や許認可プロセス、その他の方法を通じて、外国企業から国内企業への技術移転を要求したり圧力をかけたりしてはならないとの見解を共有することを確認した。 

・三閣僚は、技術移転政策・慣行に関する付属文書を支持した。 

・三閣僚は、他の like-minded な国々とともに、適切な場合には WTOの紛争解決手続に委ねることを含め、有害な強制技術移転の政策及び慣行を止めるための効果的な手段を見つけるため、ともに行動することに合意した。 

出典:経済産業省「三極貿易大臣共同声明」2018年5月31日、
www.meti.go.jp/press/2018/05/20180531009/20180531009.html

 5月31日にパリで開催された日米欧三極貿易大臣会合は、ほとんどメディアでも取り上げられなかった地味な会合であったが、共同声明(英文が正式文書)やその附属文書も発出され、重要な内容が含まれていた。

 では、その重要な内容とは何か。例えば、共同声明の冒頭の方には、「第三国における非市場志向の政策について懸念」という言い回しが出てくる。この「第三国」、「非市場志向の政策」という言葉は、どこの国を差すのか。容易に想像が出来よう。それは、巨大化し、世界一の経済大国を目指す中国である。

 中国は、日米欧の先端技術を有する企業を買収したり、中国に進出した日米欧の企業から先端技術を奪取しようとしたりする。それらから、日米欧三極が協力して、自国の産業を守ろうというのが、今回の会合で決まった共同声明の主要点である。

 共同声明の後半では、「他の like-mindedな国々とともに」という言葉が使用されている。このlike-mindedとは、同じような考えをもつ国々ということで、民主主義、市場経済等の価値観を共有する諸国のことをいう。EU加盟国は、全て入る。また、おそらく豪州やカナダも共通な価値観を有する国と言えるだろう。

 「有害な強制技術移転の政策及び慣行」を止めさせるために、日米欧三極が協力して対処方法を考えることが、今回、合意された。はっきりと、中国のしている政策や慣行を「有害」であると認定していることは、かなり強い口調であると同時に、真剣な懸念が日米欧にあることが想像できる。ただ、その問題への対処方法は、これから見つけるとあり、すぐに共同行動を取るというものにはなっていない。その点、世界中で素早く行動している中国に、上手く効果的に対応できるか、早急な対策が望まれる。

 6月25日付の日本経済新聞(電子版)によると、トランプ政権は、中国資本が25%以上の企業の投資制限や、重要技術の輸出制限を検討していると言う。今後、EU諸国や日本でも、投資規制等のさらなる強化が必要となるだろう。
 

  
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