WEDGE REPORT

2018年7月2日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 アメリカの地方都市に住んだことのある日本人が、ニューヨークに来ると必ず口にする感想がある。

 「ニューヨークには、太ってる人が少ないですね」

 そうなのだ。ニューヨークは、フィットネスおたくの街である。

 現在のアメリカの大人の肥満率はおよそ70%と言われているけれど、車社会の田舎に行けば行くほど、太った人が目につく。

 筆者が高校時代を過ごしたノースカロライナでは、学校の教師も、生徒の両親も、郵便配達のおじさんも、教会の牧師さんも、みんな太っていた。日本人の感覚の「ぽっちゃり」ではない。びっくりするほどの巨体で、身体に悪いのではないかと心配になるほどの肥満体が、中年以降の平均体型だったのだ。

 そんなアメリカの田舎の日常に慣れて、ニューヨークに来てみると、確かに太っている人は少ない。特にマンハッタンの高級住宅街に行くほど、姿勢もスタイルも良い人が増えていくのである。

颯爽と歩くニューヨーカーたち(撮影:著者)

フィットした身体がニューヨーカーのステタス

 理由の一つはニューヨーカーは普段からよく歩くことだろう。どこに行くにも車に乗る郊外の生活に比べ、ニューヨーク市内の移動は基本的に徒歩と地下鉄。歩いていて飽きることないし、歩道も整備されている。ニューヨーカーは一般のアメリカ人の平均値の倍は毎日歩いていると思う。

 加えて、肥満への厳しい社会の視線が根本にある。

 ドナルド・トランプ現大統領は特殊な例としても、代々の大統領はこれまでみんな多忙なスケジュールの中からジョッギングなどフィットネスの時間を見つけ、体力づくりに励んできた。文武両道でなくては、アメリカでは本当のエリートとはいえないのだ。

 ニューヨークのエグゼクティブに、太鼓腹はほとんどいない。ミッドタウンを早足で闊歩している人たちは、老若男女、全身がよく引き締まり姿勢もよく颯爽としている。高級ブランド品で身をかためるよりも、こうしたフィットした身体を保つことがステタスなのである。

 もちろん市内中にフィットネスジムがあちこちにあり、会員費は月20ドルというお手軽な価格から、高級ジムでは月250ドルとピンきりだ。

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