前向きに読み解く経済の裏側

2018年7月3日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 米国のトランプ大統領は、中国との経済戦争を激化させていますが、その主要な関心は、当初考えられていた「米国人の雇用を守ること」から「米中のハイテク覇権争い」に移って来たようです。

 中国は「中国製造2025」をスローガンに、ハイテク分野での覇権を狙っていると見られていますが、それを阻止しようとする米国と阻止されまいとする中国のせめぎ合いが今次経済戦争だ、とも言われています。

(ANNECORDON/GettyImages)

 そのため、米国は中国企業による対米投資を制限したり中国企業へのハイテク製品の輸出を制限したり、中国人技術者等へのビザを厳格化したりする方針のようです。

 ハイテク技術は軍事的にも重要なので、ハイテク技術の覇権争いは両国にとって譲れないでしょう。単なる「米国人の失業を中国に輸出する」といった争いと異なるので、なかなか容易には収束しないかもしれません。

 中国向けのハイテク関連輸出が止まり、中国からの投資マネーが来なくなり、米国ハイテク企業で働く中国人技術者がいなくなると、米国企業も困ることになりかねませんが、米国と中国が相互に投資や人材交流を制限することになれば、米国の技術が中国に流れるチャネルは狭まるでしょうから、米国としては「背に腹は代えられない」という判断なのかもしれませんね。

 ただ、その場合、日本企業等はどうなるのでしょうか。日本は、軍事技術は知りませんが、民間のハイテク技術は相当高いレベルにあるはずです。それが中国資本に買収され、中国のハイテク技術が向上することは、米中の覇権争いに影響するはずです。加えて、欧州の企業は軍事技術も持っているでしょう。そうなると、米国は同盟国である日本等にも同様の対応を求めて来るかもしません。もっとも、仮に求めてきたとしても、それは容易ではなさそうです。

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