赤坂英一の野球丸

2018年7月4日

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ヤクルト・小川監督の指摘

 さて、神戸で誤審が行われたのと同じ6月22日、東京ドームでの巨人−ヤクルト戦でも極めて興味深いケースが発生した。巨人が6−2とリードして迎えた七回1死3塁、巨人・亀井義行が投ゴロを打ち、三走・吉川大幾がスタートを切った、その直後である。

 打球を捕ったヤクルト投手・風張蓮は捕手・中村悠平へ送球し、中村がかわそうとした吉川大の腰にタッチ。が、吉川大はタッチをかいくぐったと判断し、ホームに滑り込んでセーフをアピールする。ここで審判がアウトと判定したところ、巨人・高橋由伸監督が「空タッチ(つまりセーフ)ではないか」とリクエスト。このときのリプレー検証では最初の判定通り、中村のタッチアウトが認められ、2死一塁(打者走者の亀井)から試合が続けられた。

 一見、まったく問題ないように思えるこの場面について、試合後にヤクルト・小川淳司監督が審判団に説明を求めた。「もし最初の判定が覆って、吉川大のセーフが認められた場合はどうなるのか」というのである。言われてみれば、通常は走者がセーフならプレーは続行されるから、ボールを持っていた中村は打者走者の亀井を警戒し、亀井が先の塁を狙っていれば一塁手か二塁手に送球しなければならない。が、リプレー検証によっていったんプレーが中断した後となると、現実には不可能である。

 審判は小川監督に対し、「そういうケースも考えた上でジャッジしている」と説明したそうだが、吉川大がセーフになり、打者走者の亀井も一塁に残ったままで試合が再開されたら、ヤクルトとしては〝大損〟ということになる。これが優勝のかかった試合で同点の場面だったら、もっと紛糾したかもしれない。

 このように、ビデオ映像を使ったリプレー検証は、試合そのものの様相を変えてしまいかねない可能性もはらんでいるのだ。ちなみに、サッカーのワールドカップもロシア大会からVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を導入し、何度か判定が覆っているが、そのたびに試合が中断されることに批判の声もあがっている。

  
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