障害と共に生きる~社会で活躍するチャレンジド

2018年7月4日

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石川:アメリカでは当事者が中心となって進めていこうとする人たちが一定数以上いて、そういう人たちのビジネスになっています。

 とはいえ、小規模の企業を作って支援機器開発をやり始めるのですが、自分たちだけではやり切れないことに気がつきマイクロソフトやアップルなど、メインストリームの企業との連携を進め、より優れたユニバーサルデザインの支援機器が生まれてくるようになってきています。

初瀬:最初は当事者が関わり、それを強みに市場を成長させていっても支援機器だけの開発だけでは少しずつ衰退してしまうということですね。その先はどうなっていくのですか。

初瀬さん

石川:規模が小さいままだと生き残れないのでライバル会社とのM&Aによって生き残りを図っていくようになるのですが、支援機器は市場が小さいのでライバルがいなくなると価格が高くなってしまうんです。それを個人に負担させるのではなく、公的な支援機器給付制度を整備して国が負担するようになっていきます。そうせざる得ない流れがありました。

初瀬:価格の面でも、視覚障害者用の拡大読書器などはほとんどの機器が198000円という価格です。これも国の負担額によって価格が決まってくるからですね。最初はなぜこの値段なのだろうと思っていました。

 競争が起こっていないためユーザーである僕たちは選択肢が少なく、品質の違いが判りづらいためとりあえず目の前にあるものを買ってしまうことになります。

石川:競争原理が働かないのでこうしたことが起こっていて、198000円の中で競争し合っているということです。

初瀬:ぼくはPC-Talkerというスクリーンリーダー(PC画面上の文字情報を音声情報や点字情報に変えるソフト)のおかげで仕事ができていると思っています。iPhoneには読み上げソフトがすでに入っていますね、これからは様々な機器の中にインクルーシブされていくのでしょうか。

石川:ウインドウズPCにはスクリーンリーダーがまだ組み込まれていませんが、今後はわかりません。可能性はあると思います。NVDAというオープンソースのスクリーンリーダーでかなり優秀なものがあるのですが、それは視覚障害者の方が中心になって開発しているものです。

初瀬:小さな支援機器だけで成り立っていたビジネスが成り立たなくなっていく流れというのは、他の障害者ビジネスも同じような状況なのでしょうね。メインストリームの企業が出てくれば小さなところは合併したり、吸収されたり。

石川:常にそうとは限りません。点字の携帯端末がメインストリームのユニバーサルデザインの中に入るかといえばそれはないですよ。音声読み上げならば必要とする人たちがある程度は見込めますが、点字は専門の会社でやってほしいと考えるでしょう。こうした機器がなくなることはないはずですが、基本的には資本力、資金調達力を持っている企業が市場全体を動かしていくということです。

初瀬:市場原理である程度のアクセシビリティーは成り立つんだけれども、さらに踏み込んだ、本当の意味で必要なものというのは制度設計が必要になってきますね。

石川:ユニバーサルデザインといっても企業によって考え方が違います。企業として収益性を確保できる線が違うからです。そこを超えた瞬間にユニバーサルデザインの範囲を超えてしまうのでアクセシビリティ政策が必要になってきます。

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