ちょっと寄り道うまいもの

2011年5月6日

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 出迎えてくれるのは、香りである。新岡山港からフェリーで小豆島に向かい、土庄〔とのしょう〕の港に入ると、食欲をそそる匂いが漂ってくる。

 ゴマ油のかどやは、江戸時代にこの島で創業し、今も作り続けている。その工場が土庄港の脇にあり、香ばしさがあふれ出ている。

 車で走ると、道沿いに、あるいは民家の間のちょっとした区画にもオリーブの木。地中海地域と日本が一緒になったような光景。

 今宵の宿がある、その名も醤油蔵通りは、タイムマシンで昔に戻ったような町並み。そして、今度は醤油の香ばしさ。

 まったく、小豆島は調味料の島だとひとりごちる。香りの島。美味しさのもとの島。食べる前に、少し歩き回るだけで、そのことを鼻から実感できるのだ。

 宿は「島宿 真里〔しまやど まり〕」。センスの良い高級旅館で、週末などかなり先まで予約も大変な人気の宿である。特に女性やカップルに。

 食いしん坊はそのことよりも、「もろみの島宿」というキャッチフレーズに、惹かれた。

 思った通り。

真里のお造り。新鮮な魚介や野菜を、地元で製造された多彩な調味料で味わえる

 たとえば、お造り。といっても、一般的な可愛らしい器ではなくて、氷を敷いた巨大なボールに瀬戸内海の新鮮な魚介、島で作られた野菜を豪快に盛り付けた、見るだけで圧倒され、楽しくなるような一品である。

 これに、近隣の家島〔いえしま〕で作られた天然塩、島で作られた醤油2種、そして、宿で作ったモロミのたれが添えられる。どんな相性がよろしいかと試す楽しみ。食材の、調味料の味わいを、この「実験」を通して理解する楽しみ。看板の一品だと聞いたが、さもありなん。

 ところで、何故、小豆島は醤油をはじめとする調味料の島なのか?

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