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2018年7月10日

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吉崎エイジーニョ

ライター

日韓比較論。スポーツから社会全般まで。74年生まれ、北九州市小倉北区出身。大阪外大(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。「Number」「週刊プレイボーイ」「週刊文春」などで執筆。北朝鮮情勢や、サッカー選手に関する韓国語翻訳書も。また「スポーツソウル電子版」「NAVER」など韓国媒体に韓国語での執筆歴もある。01年に「週刊サッカーマガジン」の韓国情報コーナーから本格的に執筆活動を開始。02年日韓W杯後に「サッカーを本格的に書く」と決心し、ペンネームに。しかし状況ままならず、再び学生時代に専攻した朝鮮半島方面へ。名前はそのままでやってます。本名は英治。ドイツ・ケルンにも在住歴あり。

逆転負けとなったベルギー戦は深夜にもかかわらず視聴率30%を記録した(写真:松岡健三郎/アフロ)

 長らく、日本のサッカー文化は雑誌文化に支えられてきた。その構造はシンプルで、90年代前半までメジャースポーツではなかったサッカーは、新聞紙面のスポーツ欄に入れなかったのだ。

 一方、雑誌文化は92年の日本代表の躍進、93年のJリーグ開幕、さらには96年の02年W杯日韓共同開催決定が追い風となり、花開く。サッカー専門誌が月刊から週刊化。コンビニや駅売店の流通に乗るようになった。またスポーツ専門誌でも「サッカー日本代表」が圧倒的に売れるキラーコンテンツとなっていく。

 流れは10年ほど続いたが、2013年から14年に大きな波が訪れる。2大専門誌が週刊化を取りやめた。また翌14年には日本代表がブラジルW杯で惨敗。あるスポーツコンテンツも扱う出版関係者は「ここが大きな分岐点となった。日本代表特集号の売上が大きく変わっていた」という。

 つまり読者が情報を得る媒体が変わっていったということ。インターネットがメインストリームに躍り出たのだ。もちろん、93年以降新聞紙面にもサッカー情報が大幅に増えたが、近年の新聞離れ(1世帯あたりの部数が1.0部を割る)といった傾向も”ネット主流”を後押ししている。

自分の好きな記事しか読まないネットでは
基本的な情報が入りにくい

 読者には速報性のメリットがあり、手軽に読める。書き手には短く分かりやすい原稿が求められる。

 ただし、こんな”問題点”がある。

 自分の好きな記事しか読まない。

 紙面と違ってスペースの違いがない。だから何が重要で重要ではないかが掴めない。

 ここで改めて言わずとも、度々指摘されていたポイントだ。重要なのは、これが社会現象として実際に現れている点だ。

 大会の全体像が掴めない。だから静かだった。

 日本代表のニュースならいくらでも読む。 監督が変わるらしい。しかも2カ月前に? そんなことありうるのか。西野朗監督就任後もW杯に出ないガーナ代表に負けた。読んで、掘り下げていく。どんどん暗い気持ちになる。

 しかし、本来はそれ以外にも大会への興味はあるはずなのだ。復活を期するブラジルの様子はどうだ? メッシやクリスチャーノ・ロナウドは大会で活躍できるのか? グループリーグの好カードは何?

 この情報がなかなか得にくいのではないか。これまで雑誌で読んでいたような「グループリーグの組分け」「大会全体のスケジュール」といった基本的な情報が、インターネットだけでは入りにくい。

 これまでなら半年前くらいから繰り返し、雑誌でページが割かれてきたから目にしたはずなのだ。筆者もロシアに発つ直前、よく行くフットサルチームで大会の話をしたが、ほとんどがグループリーグの組分けを正確に知らなかった。パナマ、アイスランドといった国が初出場だ、といった点はもちろんのことだ。

 大会が始まって、ようやく地上波が大会を報じ始めると、ポツポツと状況がわかり始める。そして試合がいざ試合が行われるという段になり、ようやく「何が起きるか」が理解されていく。そういう構図だったと見る。

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