Washington Files

2018年7月9日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。現在、神田外語グループ参与。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 先の大統領選では、トランプ氏のほか、テッド・クルス上院議員(テキサス)、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ)、ジェフ・ブッシュ前フロリダ州知事、ジョン・ケイシック・オハイオ州知事ら、有力者が予備選まで候補に名を連ねたが、いずれも予想外だった“トランプ旋風”のあおりを受け敗退の憂き目にあった。その後、トランプ氏が同年夏、フィラデルフィアでの全国党大会で最終的に共和党大統領候補として指名を獲得してからも、大統領選本番でのトランプ候補への支持を拒否するか、消極的支持にとどまった人物ばかりだった。いわばトランプ氏を“異端児”扱いしてきた。

 「私自身でさえ、まさか彼が大統領に本当に成れるとは信じていなかった」とベーナー前下院議長でさえ告白しているように、投票日の開票直前まで、共和党主流派はむしろクリントン民主党候補の当選を覚悟していたのだ。

 しかし、「トランプ当選」というまさかの事態となったことで、その後、共和党議会も“異端児大統領”との関係構築に躍起となり、苦悩させられることになった。

 さらに注目されるのは、共和党支持者間のトランプ氏に対する「好感度」の変化だ。

 去る4月10日公表されたCNNテレビ調査結果によると、先の大統領選挙期間中は「50%」にとどまっていたのに対し、当選後は「80%台」と拡大、それ以後、この高い支持率を維持してきている。つまり、共和党支持者の圧倒的多数が今日、従来の同党主流派が主張してきた「節度ある保守主義」ではなく、トランプ流の過激ともいえる内外政策に共感していることを示している。「共和党は死んだ」「あるのはトランプ党だけだ」といわれるゆえんだ。

中間選挙におびえる

 とくに共和党現職議員たちにとっては、中間選挙を11月に控えているだけに、トランプ支持者が多い今の時点で大統領の主義・主張そして政策方針に表立って異議を唱えることは、自らの政治生命を断つことにもなりかねない。

 こうした共和党の嘆かわしい現状について、トランプ・ホワイトハウスの政治手法を厳しく批判してきた同党保守本流を自任するジェフ・フレイク上院議員(アリゾナ)は、今年を最後に引退するのを前に出版した自伝『ある保守主義者の良心』の中で、次のように語っている。

 「わが党の現状を真面目に評価するとすれば、今後思い切った軌道修正をしないかぎり、共和党には退出の道しかない。アメリカの人口統計実体は急速に変化しつつあり、わが党もそれに合わせて変わる必要がある。年ごとの選挙のたびにわれわれは、非白人たちの存在を敵視し、軽視してきた結果、ますます古めかしい白人中心の党となりつつある……」

 だが、果たしてこのような一部の共和党員たちの良心が、11月に迫った中間選挙にどの程度反映されていくのか、現時点ではまったく不透明といわざるをえない。

  
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