赤坂英一の野球丸

2018年7月18日

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勝ち星よりも完投の数が多い

 いま、巨人の菅野や山口をマウンドに送り出している投手総合コーチの斎藤はかつて、そういう姿が一番似合う投手だった。斎藤が最多勝のタイトルを獲得したシーズンの完投と完封の数を見ると、1989年が20勝7敗21完投7完封、90年が20勝5敗19完投6完封、92年が17勝6敗12完投5完封、95年が18勝10敗16完投6完封、96年が16勝4敗8完投4完封。最初に最多勝と最優秀防御率に輝いた89年は、勝ち星よりも完投の数が多いほどだったのだ。

 斎藤だけが酷使されていたわけではなく、89年は槙原寛己が12勝4敗4セーブ14完投4完封、桑田真澄が17勝9敗20完投5完封と、先発3本柱を形成していた2人も勝利数より完投数が多い。最初にマウンドに上がったら終わるまで降りない。当時の監督だった藤田元司が降ろしてくれない。そういう〝完投トリオ〟のライバルたち、広島・北別府学、大野豊、川口和久、中日・今中慎二、山本昌広らも、「巨人の投手より先に降板してなるものか」とばかり、凄絶な投手戦を見せてくれた。

 余談になるが、オウム真理教の元教団代表・松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の刑が執行された日、私は地下鉄サリン事件が起こった95年の斎藤を思い出した。同年3月20日の事件発生から18日後の4月7日、厳戒態勢が敷かれた東京ドームで開幕戦(対ヤクルト)のマウンドに上がった斎藤は、見事完封勝利を挙げている。開幕戦勝利を2年連続完封で飾ったのは、セ・リーグ初の快挙だった。

 そういう完投、完封が絵になるエースに、菅野も成長してほしい。これまでの自己最多の完投数は、リーグ最多だった2017年の6。今季の菅野なら、その倍は可能なはずだ。

  
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