世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月24日

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 ポンペオ米国務長官が、7月5~7日の日程で北朝鮮を訪朝し、7月7~8日には、日本を訪問した。7月1日には、ソン・キムらによる事務レベル協議も行われた。しかし、議題の詰め程度で終わったようだ。

(-1001-/RomoloTavani/GlobalP/AlexZabusik/karammiri/iStock)

 寧辺でのウラン濃縮の継続や東倉里の西海ミサイル実験場の閉鎖など、シンガポールで約束したことに反する事柄について、厳しく北朝鮮と対決することが必要だ。ポンペオ発言や訪朝もどこか鷹揚過ぎる。

 6月末、ワシントンの外交筋は来る会談の議題は3つあるとした。1つは、米軍戦死者の遺体・遺骨の送還、2つ目は、東倉里のミサイル・エンジン試験場の閉鎖、そして3つ目が非核化に向けたスケジュールである。

 試験場閉鎖について、米国は米国人専門家が現場に出向いて確認することを求めていると述べた由だが、米国には優先順位をきちっとしておいて貰いたい。

 7月3日付のウォールストリート・ジャーナル紙の社説は、北朝鮮がウラン濃縮を続けている以上、国連安保理に新たな制裁を求めるべきだと主張する。一理ある。

 更なる検討が必要となるにしても、少なくとも米朝首脳会談について安保理に米朝双方から報告をさせることは、安保理を噛ませておく観点から、考えてみる利益はあるかもしれない。

 シンガポール会談の問題点が露呈してきている。米朝双方のギブ・アンド・テイクが明確でなく、交渉したのかどうかさえ分からない。約束があったとしてもそれは口約束で、しかも一方的措置として発言したものである。トランプの世界ではそれでよかったのかもしれないが、国の安全保障の世界ではもっとハードに交渉し、約束は文書化し、双方を拘束するものにすべきだ。実際の交渉も事務チームをもっと強化し、その上にポンペオ長官、最後はトランプ大統領というように多層化すべきであり、過度に高いレベルで交渉を続けることにはリスクがある。

 非核化交渉はこれから始まると考える他ない。今後強力な交渉が必要だ。非核化を求める側の立場は、首脳会談前に比べ悪くなっている。ムードが先行し、制裁も緩み、金正恩は交渉の目的を、体制保証、「朝鮮半島の非核化」とする。非核化の定義や段階・同時の手法も曖昧のまま、金正恩は、米韓軍事演習中止、新たな米朝関係の構築、中朝関係の再強化と中国の協力・支援の再開など多くの譲歩を獲得した。

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