前向きに読み解く経済の裏側

2018年7月23日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、投資初心者にお勧めのインデックス投信について解説します。

 日本国内だけで、何千という株式が上場されています。世界中ではその何十倍でしょう。そうした中から、投資すべき銘柄を選ぶのはとても大変なことです。

(solar22/GettyImages)

 巨大企業だけに限っても、どの銘柄が値上がりしそうかを予想することは、不慣れな投資家には大変困難な作業でしょう。短期投資の場合にはほとんど不可能と言っても過言ではありませんし、長期投資でも、予想が当たる可能性はそれほど高くないかもしれません。それならば、無理をして銘柄を選ぶ必要は無いでしょう。プロに任せれば良いのです。

 プロに任せるとしても、一つの銘柄だけに投資するのはリスクがあります。どんなに安全に思える株でも、株価が大きく値下がりする可能性は否定できないからです。筆者が投資を始めたのはバブルの直前でしたが、先輩からのアドバイスは「初心者はとりあえずJALと東電を買っておけ。日の丸銘柄だから、値上がりは期待出来ないが、値下がりのリスクも小さいから安心だ。配当も悪くない」というものでした。

 別にその先輩が無能だったわけでも筆者にわざと損をさせようとしていたわけでもありません。似たようなことを言う人は多かったですから。結果としてJALの株は紙くずになり(現在上場されているJAL株は新生JALの株で、当時のJAL株とは別物)、東電の株も大幅に値下がりしたのは皆様ご存知の通りです。したがって、株式投資に際して安全な銘柄などないと考えておくべきなのです。

 そこで、数多くの銘柄に分散投資しておくことが重要となります。数多くの銘柄に投資しておけば、値上がりする銘柄も値下がりする銘柄もあるでしょうから、大儲けも期待しにくい一方で、大損のリスクも避けることができるからです。

 もっとも、株式投資は「A社の株を千円分下さい」というわけには行きません。最低投資単位というものがあるので、1つの銘柄に投資するだけで数十万円必要となる場合も多いのです。そうした時に数多くの銘柄に分散投資することは、一般のサラリーマン投資家には無理な相談です。

 そこで、初心者に筆者がお勧めするのが投資信託(投信)です。ファンドマネージャーと呼ばれる資産運用のプロが大勢の投資家から小口の資金を集めて、集まった資金を用いて数多くの銘柄の株式に投資をするのです。投資の結果は、儲かろうと損しようと、そのまま投資家に(プロが運用した手数料等を差し引いて)払い戻されます。途中解約もできるのが普通ですから、株価が上がりそうな時に投資信託を購入し、下がりそうな時に投資信託を解約する、ということが出来ます。

 「日本株に投資します」「米国株に投資します」「新興国の株に投資します」「高金利の債券に投資します」といった様々な投資信託が売られているので、投資家は好みの投資信託を購入することができます。

 投資信託には、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンド(パッシブ・ファンドとも呼ばれます)があります。前者はプロが銘柄を選ぶので、値上がりする確率は多少高いようですが、プロに払う手数料も高いのは難点です。後者はたとえば「日経平均の計算に用いられている225銘柄の株を全部1000株ずつ買う」といったイメージですから、プロの銘柄選びの手間がかからない分だけ手数料が安くなっています。

 したがって、どちらが得かは何とも言えませんが、初心者には後者の方がわかりやすいでしょうね。前者の場合、過去に値上がりした投資信託が「ファンドマネージャーの腕が良いから上がったので、今後も値上がりが期待出来る」のか「偶然値上がりしただけで、今後の値上がりは期待できない」のか、見極める必要がありますが、それは初心者には酷でしょう。

 インデックス・ファンドには、二通りあります。一つは普通の投資信託で、銀行でも証券会社でも買えます。購入金額を指定して買うこともできますから、「1万円分下さい」「毎月1万円分ずつ積み立て投資をします」といったことも可能です。

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