世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月8日

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  安倍総理、トゥスク欧州理事会議長(EU大統領)、ユンケル欧州委員会委員長は7月17日、東京で定期首脳会議を行い、日EU経済連携協定(EPA)に署名、共同声明を発出した。共同声明のうち、同協定を含む経済に関する部分を、以下の通り抜粋紹介する。

(yayayoyo/BeeBen14/popovaphoto)

 世界最大のエコノミーの2つである日本とEUとの間での高度に野心的な貿易協定の署名を我々が祝う中で、本日は歴史的な一歩となる。この協定を完全に実施するに当たり、日本とEUは、自由で、公正な、かつルールに基づく貿易を促進し、保護主義に対抗するという力強いメッセージを発信している。この経済連携協定は、自由貿易の旗を高く掲げ続け、自由貿易を力強く前進させていくとの日本とEUの揺るぎない政治的意思を世界に対して示すものである。さらにこの協定は21世紀において、高い水準の、自由で、開かれた、かつ公正な貿易・投資ルールのモデルとなるものである。この協定はまた、持続可能で包摂的な経済成長をもたらし、雇用の創出を促すものである。この協定は、世界とそして我々の市民に対して、自由で、公正な、かつルールに基づく貿易が我々の社会及び世界において繁栄を促進するための重要なツールであり続けることを示すものである。さらに日本とEUは、投資ルールに関する協議を続けていく。

 我々は、世界貿易機関(WTO)を中心とするルールに基づく多角的貿易体制の極めて重要な役割を強調し、引き続き保護主義と戦う。我々は、WTOの交渉・監視・紛争解決の諸機能の効率性と機能を向上させるため、WTOを現代化することにコミットする。我々は、G7シャルルボワ・サミットにおける結論を再確認する。G7シャルルボワ・サミット及び日米欧三極貿易大臣会合において決定されたとおり、我々は真に公平な競争条件を促進するため、特に市場指向的ではない政策・慣行及び強制的な技術移転又はサイバーによる窃取等の知的財産権の不十分な保護に対処し、既存の国際ルールの執行及び新たなルールの構築のために協働する。我々は、市場歪曲的な産業補助金及び国有企業による貿易歪曲的な行動に関するより強固な国際ルールの構築のための交渉の開始を求める。

出典:第25回日EU定期首脳協議 共同声明(仮訳)、2018年7月17日、外務省

 日EU経済連携協定の意義は、上記共同声明に端的に示されている通りである。2017年のGDPの数値で言えば、EUは約17.3兆ドル、日本は約4.8兆ドルであり、それぞれ世界第2位、第4位の貿易圏である。関税撤廃率は、EU 側99%、日本側94%となるという。これは大きな撤廃率である。トランプの米国が保護主義の色彩を強める中、自由貿易を標榜する資格のある日本とEUがEPAを締結したことの意義は、いくら強調してもし過ぎることはない。7月25日に、トランプ米大統領とユンケル欧州委員会委員長は、米国とEUとの間で、関税、政府補助金、非関税障壁の引き下げを目指す交渉を開始することで合意、その間は互いに新たな関税を控えるということで、懸念された米EU間の「関税戦争」は、ひとまず「休戦」となった。こうした動きにも、日EU経済連携協定は影響を与えたものと考えられる。

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