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2018年8月2日

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北朝鮮は7月27日、朝鮮戦争で死亡した米兵のものと考えられる遺骨を納めた棺55基を米国に返還した。米当局は7月31日、返還物に認識票が1つだけ含まれていたと明らかにした。

検視官によると、初期検査の結果、遺骨は「米国人の可能性が高い」ことが示されたという。

棺は詳しい検査のため、韓国からハワイに移送中。

北朝鮮は過去にも外国兵とされる遺骨を兵士の母国に返還しているが、骨はその後、人間のものではなかったと明らかになっている。

米軍は1日、韓国の烏山空軍基地で遺骨返還の記念式典を開いた。同基地には先週、遺骨を納めた棺が到着していた。

ハワイで遺骨の身元確認を担当した法医人類学者のジョン・バード氏は、「遺骨が朝鮮戦争の戦死者のものではないと疑う理由は、現時点ではない」と話した。

バード氏によると、認識票が身元を示す米兵の家族に当局が接触している。バード氏はさらに、認識票で示された身元が、同時に返還された遺骨と一致すると認めるのは時期尚早だとも強調した。

北朝鮮政府は2011年、英戦闘機パイロットのものとする遺体を返還したが、骨は死んだ動物のものだったことが明らかになっている。

今回の遺骨返還について北朝鮮は正直に対応しているようだと、米当局は述べた。

米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)のジョン・クレイツ少将は、「将来的に、北朝鮮で(遺骨回収)活動を実施することを、非常に前向きに期待している」と話している。

米朝交渉の経緯

米兵遺骨の返還は、米朝共同宣言で挙げられた4項目の1つ。同宣言はドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が6月にシンガポールで会談後、署名した。

トランプ氏と金氏は「朝鮮半島の完全な非核化」に向けた取り組みにも合意したが、北朝鮮が新たなミサイルを開発している可能性があるとの報道が今週あった。

今回の遺骨返還は、朝鮮戦争から長年の間、区切りを待ちわびる戦没者遺族に新しい希望をもたらした。ただし、身元確認には数年かかる可能性もある。

父親が行方不明の女性はかつて、BBCに対し「愛した人に何が起こったのかわからないまま人生を生きるのは辛い」と話した。

マイク・ペンス米副大統領が、棺のハワイ到着を出迎える予定。

北朝鮮に米兵遺体が残る理由

国連軍は朝鮮戦争で、共産主義国の北朝鮮と戦う韓国を支援した。米国人32万6000人が、国連軍の一部として韓国軍と共に戦った。国連軍の兵士約3万3000人が行方不明のままとなっている。

米政府は、北朝鮮で「まだ故郷に帰れていない」推計5300人の米国人を捜索する現地作業の再開を要求していると繰り返してきた。

1990年から2005年の間に229人分の遺体が米国に返還されたが、北朝鮮の核計画推進に伴う関係悪化を受け、両国の協力は中断した。

支援団体「朝鮮戦争の戦時捕虜および戦闘中行方不明者ネットワーク」のメンバーは戦没者遺族に対し、今回返還された遺骨の身元が必ずしも米国人でなく、他国籍者の可能性もあると警告している。

米当局は既に遺骨が米国人のものである可能性が高いと発表しているが、どのような方法で判断したのかは明らかになっていない。

北朝鮮が回収した遺体はほかにも?

北朝鮮はこれまでに、約200人分の遺骨を収集したと考えられている。

2007年に遺体6柱の返還を監督したビル・リチャードソン元国連大使は米紙ワシントン・ポストに対し、北朝鮮政府が遺体全てを無条件で返還するとは考えにくいと話した。

リチャードソン氏はワシントン・ポストに対し、「北朝鮮はすぐ、無条件にある程度の数の遺体は返還するだろう」と述べた。「だがその後は、『次の遺骨返還にあたっては、我々は遺骨を探し、安置し、修復する必要がある』と北朝鮮政府は言うだろう。そして見返りを求め始めるはずだ」

(英語記事 Korea remains: US finds one 'dog tag' among war dead returned by North Korea

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45040734

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