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2018年8月10日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 筆者がニューヨークに移住した1980年から、過去38年でこの都市の街並みは劇的に変化した。

 マンハッタンの地価高騰とともに個人経営の店はどんどん姿を消して、大手企業の経営するチェーンストアにとって替られた。スターバックス、ドラッグストアチェーンのドゥエインリードなどは、数ブロックごとに一軒はある。ニューヨークらしい個性が消えてしまったと嘆くニューヨーカーは少なくない。

 中でも、もっとも激減した小売店はおそらく書店ではないだろうか。

NYの書店と言えば、バーンズ&ノーブル(aluxum/iStock Unreleased)

 大手資本の書店が、個人経営の小さな本屋の経営を圧迫していくという現実をサブテーマにしたロマンスコメディ映画、「ユーガット・メイル」がアメリカで公開されたのは1998年のことだった。だがいまやその大手資本の書店ですら、絶滅危惧種になりつつあるのだ。

 日本でも本が売れない時代と言われて久しいものの、マンハッタンの土地代の異常なまでのインフレと、オンラインショッピングの一般普及で二重にも三重にもダメージを受けたニューヨークの書店業界。東京のように、何気なく散歩していて書店に行き会うという光景はもうこの街では消えつつあるのだ。

 かつて市内中に支店を構えていたバーンズ&ノーブルも、現在ではマンハッタン内では5店舗まで縮小。贅沢にフロアスペースを使ったこれらの店舗も、いつまで営業を続けていけるのかわからない。

書店で存在感を示すManga

 そんな書店の中で、大きな存在感を示すのはMangaである。日本のマンガの、英語版だ。五番街のミッドタウンにあるバーンズ&ノーブルにも一通路分、堂々とマンガのスペースがとってある。品揃えはOne PieceやNarutoなど、日本でも大ヒットしたアクション系の少年漫画が中心のようだ。

日本でも人気のOne PieceやNaruto(写真:田村明子)

 著者が記憶する限り、日本のマンガやアニメがニューヨークでブレークしたのは、80年代の大友克洋氏原作のアニメ「Akira」が最初だった。

 もちろんそれ以前にも、手塚治の「鉄腕アトム/Astro Boy」など、アメリカに輸入されてヒットした作品もある。だが当時は対象はあくまで子供たちであり、一部のアニメコレクターたちの間で評価されていた程度だった。

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