この熱き人々

2018年9月25日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 19歳の若さでエベレスト登頂をはたし、一躍、日本中に知られる存在となった。目指すのは、自分を超えていくこと。人生を悔いなく生ききるための、次なる「探検」の準備はもう始まっている。
 

 南谷真鈴(みなみやまりん)。21歳。早稲田大学政治経済学部2年。ウエービーなロングヘアにコーラルピンクのウインドブレーカーのスポーティーな装いが、都心の公園の緑に華やかに映える。この若い女性が、日本人最年少の19歳でエベレスト登頂に成功し、その2カ月後に日本人最年少、女性では世界最年少で7大陸最高峰登頂も達成、さらに南極点、北極点到達を加えた探険家グランドスラムを世界最年少の20歳で達成したと聞いたら、道行く人はどんな反応を示すのだろうか……。偉業を知っていてさえ、記録達成までの過酷さと目の前の都会的な雰囲気の漂う女子大生の間の落差を乗り越えないと、南谷真鈴の像が結べないような気分になってくる。

 18歳になったばかりの2015年1月3日に制覇したアコンカグア※(南米大陸)を皮切りに、8月にキリマンジャロ※(アフリカ大陸)とモンブラン(西ヨーロッパ)、10月には標高世界第8位のマナスル(ネパール)に登り、12月にコジオスコ※(オーストラリア大陸)とビンソン・マシフ※(南極大陸)。ここで予定外の南極点の遠征を加え、翌年1月、19歳でカルステンツ・ピラミッド(オセアニア)、3月にエルブルース※(ヨーロッパ大陸)、5月にエベレスト※(アジア大陸)、7月にデナリ※(旧マッキンリー、北米大陸)に登頂。翌17年、4月に北極点に到達。(※印は7大陸最高峰)

 7大陸最高峰登頂達成までの期間は、わずか1年半。エルブルースから帰国した2日後にはエベレストに向けて出国するという過密なスケジュールである。ひたすら山に集約された濃密な1年半は、17歳でエベレスト登頂計画を立てた時から始まった。しかも、高校3年の春に、香港の高校から日本の高校に編入したばかり。一人暮らしをしながら大学受験計画と登山計画を並行して進めたという。

 「エベレストに登るという思いが強くなって、自分のプロジェクトとして作り上げていきました。17歳から33歳までのやりたいこととそのタイミングを書き出してみて、今しかないという結論に達したので、勉強とトレーニングを同時にすることにしました」

 1つでも大変なのに2つ同時進行。しかも外国の山への遠征には相当な費用が必要になるはずだ。

 「父に計画を話したら、それは真鈴のプロジェクトだから資金のサポートはしない。自分の力でやりなさいって。反射的に、じゃあ自分でやると言ってました」

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