したたか者の流儀

2018年8月18日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

議決権アドバイザー

 そこで、不思議なビジネスが登場することになる。白票という奥の手が禁じ手となった由緒正しい機関投資家は、議決権アドバイザーと契約して難題に対応しているのだ。

 格付け会社も大手どころの、S&PやMoody’sなどは外国企業で、日本の同業者は残念ながら外国ではあまり名前は通っていない。議決権行使アドバイザーも現在の所は外国系が主流となり、そのご威光にたいして企業側もひれ伏すことになる。一方、上場企業にとって見知らぬ株主から、ある日突然、仲間と合計すると51%以上の株主となったので宜しくと挨拶されたときの恐怖は計り知れない。そこまで行かなくても少数株主権が行使出来る株数の見知らぬ名前が名簿に登場しても震え上がることになる。

 その昔、『野蛮な来訪者』という本があったが、”Barbarians at the gate”が原題と記憶する。惰眠を貪るとまでいわないが、幸せな上場会社トップにとって総会屋も消え失せた現在の心配の種は、とば口までやっくる外国からの野蛮人たちであろう。

 そもそも、上場企業は保有している財産の何倍もの株価が付くのが道理であろう。しかし、日本では4割が会社の一株当たりの純資産を下回った株価となっている。

 経営者に退場させ、その資源をつかってさらに利益をもたらす自信があるので、去ってほしいと身内は言わないが、外国人投資家はその限りではない。したがって、日本企業のトップは新しい外国人株主ができると何者であるのか戦々恐々となるのだ。

 そこで、新ビジネスの登場となる。外国発とはいえ、日本向けビジネスの典型であろう。既に日本名も決まっていて“判明調査”というのだ。

 早く正体を知ってどうなるのだという気もするが、心配性の日本経営者は上得意となる。5%以上保有すれば正体を明かす義務もあるが、それまで待てないのだろう。たとえ、敵対的買収を意とした買い付けであったとしても、清々堂々の経営をしていれば怖がる必要はないと思う。

 既に、我が国でも買収防止策は、好ましくないというコンセンサスはできている。その上で、買収を意とした株主が出るということは、株価上昇を促すことになる。PBR(株価純資産倍率)が一倍以下であれば、市場からの退場宣告となるが、そこに海外から自薦他薦で野蛮人がやってくるとすればむしろ、めでたいと思うがいかがであろうか。

 現状に安住する企業経営者にとっては、けたたましく鳴る目覚まし時計となるかもしれないが。

  
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