世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年8月27日

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 これまで米国は、危機感を持つたびに、国を挙げて危機に本気で取り組み、底力を発揮してきた。1957 年にソ連が世界で最初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功すると、米国は宇宙開発でソ連に後れを取っているとの危機感を抱き、当時のアイゼンハワー大統領は、ミサイルとロケット兵器の分野で、ソ連の挑戦に対処するため、米国の科学技術資源を動員する新計画を発表するとともに、国家防衛教育法を成立させた。 その後の米国の宇宙開発の成果は周知のとおりである。 

 1980 年代後半、米国の主要産業分野は日本の挑戦を受けた。1989年 MIT は米国の産業の実態につき“Made in America”という報告書を発表し、テレビなどの民生用電子機器、工作機械、半導体、半導体製造装置などの分野で日本に優位を奪われていることを明らかにした。一時は世論調査でソ連の軍事的脅威より、日本の経済的脅威の方が大きいとの結果が出たほどであった。危機感を抱いた米国政府は、1987 年レーガン大統領が「21 世紀の挑戦と機会に備える」と題し、人的資源への投資、科学技術の推進などの提案を行った。 米国に技術優位を失うのではないかとの危機感を抱かせた日本の挑戦は、その後日本でバブルが崩壊し、自然消滅した感もあったが、米国は 1990 年代を通じ、再び技術優位をゆるぎないものとした。 

 今回の中国の挑戦に対しても、米国が危機感を抱き本気で取り組めば、再び底力を発揮するものと思われる。
 

  
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