BBC News

2018年8月21日

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経済危機が深刻化するベネズエラから、隣国ブラジルに逃避する市民が増えている。ブラジル軍の報道官は、20日に北部ロライマ州に入ったベネズエラ市民の数は約900人に上り、これまでの1日あたりの平均を大幅に上回る見通しだと語った。

先週18日には、国境近くに作られた複数の野営キャンプを地元住民が攻撃する事件が起きており、ベネズエラからの人々の流入は近隣国との緊張を生じさせている。

ベネズエラは20日、通貨の単位を10万分の1に切り下げるデノミネーション(デノミ)を実施。これまでの紙幣や硬貨が新しいものと交換されることへの不安感が高まっている。20日は公休日のため、銀行や商店は21日に営業を再開する予定となっている。

ベネズエラ政府は、急激なインフレに対応するため必要な措置だとしているが、混乱を助長する可能性があると批判する声も出ている。

野党は21日にストライキの実施と抗議活動の実施を呼びかけている。

ブラジルで何が起きているのか

ベネズエラとの国境付近の町パカライマ近くで18日に起きた暴力事件を受け、ブラジル政府は治安部隊を追加派遣した。

ロライマ州政府は最高裁判所に対し、州の福祉サービスの対応能力を越えているとして、ベネズエラからの市民の流入を一時的に禁止する措置を求めた。

しかし、ブラジルのセルジオ・エチェゴエン治安担当相は国境閉鎖は「違法であり、考えられない」と語った。

同相は、国境には憲兵が配置されており状況は改善していると述べ、「緊張した空気だが、衝突は起きていない」と付け加えた。

国境を越えてブラジルに入ったベネズエラ市民の多くは空腹を訴え、母国では医療サービスが受けられないと話した。

ブラジル軍によると、19日にベネズエラからロライマ州に流入した市民の数は約800人で、過去1年間近くの1日あたりの入国者数を約300人上回っているという。

パカライマでは19日、地元住民が越境者の野営地のいくつかを襲撃。地元レストランの所有者がベネズエラから来た人々に暴行を受け重傷を負ったとの報道がきっかけになったという。

暴徒たちが野営地や人々の所持品に放火するなか、何百人ものベネズエラ人が再び国境を越え、ベネズエラ側に避難した。20日の報道によると、逃げた多くの人が再びブラジル側に戻ってきている。

過去数カ月間、ロライマ州にやってくるベネズエラ人たちに対する敵意が強まっている。

ベネズエラ市民はブラジル以外にも流入

コロンビア、エクアドル、ペルーといった近隣国でもベネズエラ市民の流入が続いており、各国は対応に苦慮しているとしている。

エクアドルでは、18日に導入された新たな入国規制を受け、何百人もの人々がコロンビアとの国境で足止めされた。

混乱のなか一部の追い詰められたベネズエラ人は、新たな規制に従わず、国境の警備されていない地点から入国しているが、現地の記者によると、不法な国境越えには罰金が課される可能性があるという。

コロンビアでは過去3年間、1日約3000人のペースでベネズエラ人が国境を越えており、80万人以上に一時的な滞在許可が与えられている。

ペルーは、ベネズエラからの入国者が先週だけで2万人に上ったと明らかにした。

ベネズエラの通貨をめぐる動き

国際通貨基金(IMF)は、ベネズエラの物価上昇率が今年、100万%に達する可能性があるとの予測を示した。野党が多数を占める国民議会が最近実施した調査によると、物価は平均26日で2倍に上昇している。

ベネズエラ政府は新たな通貨導入に加えて、経済を立て直すため主要な措置をいくつか導入すると表明した。

  • 9月1日に最低賃金をこれまでの水準の34倍に引き上げ
  • ベネズエラの埋蔵原油が裏づけになっていると政府が説明する仮想通貨「ペトロ」に、通貨ボリバルを連動させる
  • 燃料への手厚い補助金を、新たに導入する身分証明書の所持者のみに限定
  • 付加価値税を現在の4%から16%に引き上げ

(英語記事 Venezuela crisis: More migrants cross into Brazil despite attacks

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45254858

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