WEDGE REPORT

2018年8月24日

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18日、コフィー・アナン元国連事務総長が死去した。享年80歳。初のアフリカ出身事務総長(前任のガリ事務総長は中東、エジプト出身)。たたき上げで事務総長まで上り詰めた人。2001年ノーベル平和賞受賞者。アナン氏は輝かしい経歴と数々の業績を残しこの世を去った。出身のガーナでは「国民の英雄」とされ、一時は、大統領に、との呼び声も高かった。しかしその足跡は、国連の苦悩を表すもの以外の何物でもない。

8月18日に死去したコフィー・アナン元国連事務総長(写真:ロイター/アフロ)

「世俗世界のローマ法王」と評されたアナン氏

 アナン氏は、1938年、当時、黄金海岸と言われた今のガーナのクマシ村で生まれた。名前のコフィーは、現地のアカン語で金曜日を意味する。生まれた4月8日が金曜だった。家庭には恵まれた。祖父と叔父は部族の長、家系はガーナの貴族である。コフィーは両親の愛を一身に受け順調に成長していく。1958年、ガーナの大学に進んだが、それは一部の者にしか認められない「特権」だった。続いて米国、スイスに留学、MITではMBAをとった。これ以上の恵まれた環境はない。このあたりは、途上国で名を成す人物に共通する。結局、学業の機会に恵まれることこそが途上国出身者の将来を切り開いていく。

 学業を終えたアナン氏は、1962年、WHOにポストを見つける。以来1974年から1976年までのガーナ観光会社での勤務を除き、アナン氏は国連を足場に活躍していく。

 アナン氏は物静かな人である。感情を表に出すことなく、常に自らの思い、主張を見事なまでにコントロールする。人はアナン氏を評し「世俗世界のローマ法王」という。人間が持つ、生の欲望はアナン氏には無縁である。「優秀な外交官」とはアナン氏を評するときに常に言われることだが、確かに、その、スマートでそつない言動は、洗練された外交官の極みを思わせる。アナン氏がまとうスーツは体にぴったりフィットし、その端正な顔立ちともあいまってアナン氏の姿は気品すら漂わせた。アナン氏に会うと、人は強い印象を受けずにいられない。

 この、そつなさこそが、良くも悪くも、アナン氏の40年以上にわたる国連活動に刻印されている。

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