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2018年8月29日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

問われる金融庁の手腕

 ショックの「震源」となったスルガ銀行では預金の引き出しが増えているという。株価は8月22日にはストップ安となり、今年1月時点で2500円以上もしていた株価は株価は8月24日の終値が564円まで急落した。今週に入って600円台を回復しているが、信用が求められる金融機関の株価がここまで暴落すると、先行きどうなるのかと言う不安感が付きまとうことになる。

 今後は経営陣を一掃して不適切な融資を抜本的に改める必要があるが、焦点はこの問題含みのスルガ銀行をどうやって再建するかだ。スルガ銀行は岡野一族が創業した銀行で、現在は5代目の岡野光喜氏が会長兼最高経営者(CEO)として君臨している。この数年は高い業績を上げ、行員の給与水準は地銀の中でトップクラスにするなど、金融業界の中でもその独自な経営方針は目立っていた。金融庁の森信親・前長官はその経営のやり方を高く評価するなどしていた。

 いまのところ、どこの銀行も再建に名乗りを上げているところはないが、同県の有力地銀である静岡銀行などが候補としては上がってくるのではないかみられている。しかし、スルガ銀行はこれまで

 不動産関連融資を柱に、行員にノルマを課した無理な経営をしてきただけに、吸収合併してでも再建に乗り出そうという銀行は出てきにくい。金融庁としては近隣の有力銀行に鈴をつけたいところだが、容易ではなさそうだ。森長官の後を受けて7月に金融庁長官に就任した遠藤俊英長官にとっては、「スルガショック」が広がらないような対策を取ると同時に、スルガ銀行をどのように「処理」するかその手腕が問われそうだ。

  
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