子育ていろいろ 本いろいろ

2018年8月31日

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毎月のように、新しい子育て本、教育本が書店に並ぶ。教育熱心な親、子育てに悩む親がそれだけ多いということなのだろう。教育に関してはさまざまな考え方があり、どのような考え方を選ぶかは各家庭の裁量だ。ただ、一つの考え方に固執するよりも、他種多様な手段・方法・考え方を知って選択肢を持っておきたい。正解はないが、結果はあるのが子育て。あなたは親としてどう子どもと向き合いたいだろうか。この連載では、教育関連本を出版した著者の方たちにインタビューしていく。

 子育てに悩みはつきもの。また、子育てに忙しい時期は、一般的に親たちが仕事上のキャリアを築く時期とも重なりやすい。こういった時期に、もし親のどちらかが大病を患ったら……。『子どもを持つ親が病気になった時に読む本』(ポーラ・ラウフ、アンナ・ミュリエル著/創元社)は、このような親たちの不安や疑問に応える一冊だ。また、闘病する親たちの周辺にいる人にとっても、意味があるだろう。邦訳版の必要を感じ、自ら出版社に出版を提案したという、慶應義塾大学医学部の藤澤大介さんに話を聞いた。藤澤さんは精神科医として、体の病気を持つ患者の心のケアに取り組んでいる。

(KatarzynaBialasiewicz/iStock/Getty Images Plus)
藤澤大介(ふじさわ・だいすけ)さん
慶應義塾大学医学部精神・神経科心理研究室代表。1998年同大医学部卒業、2010年医学博士。ハーバード大学附属病院であるマサチューセッツ総合病院に留学した際に、「親が病気の時の子育て支援プログラム」を知り、本書の邦訳版を提案。精神科医や臨床心理士とともに「慶應義塾大学医学部心理研究グループ」として翻訳を行った。

ハーバード大学附属病院で見た包括的なメンタルケア

――「訳者あとがき」で、病気になった親御さんの語りには、その家庭のストーリーが凝縮されていると感じたと書かれています。

藤澤:はい。マサチューセッツ総合病院の「親が病気の時の子育て支援プログラム(Parents at Challenging Time: PACTプログラム)」のカンファレンスに参加し始めた際、最初は、お子さんに関する相談が多いのかなと思っていました。実際には、相談に来られたお父さん、お母さん自身への病気への思いや、家族との葛藤、子どもとの生活の苦労などが次々と語られました。スタッフが患者さんの人生を多面的、包括的に見て寄り添っていたのが印象的でした。

――非常にきめ細やかなケアだなと感じます。

藤澤:そうですね。私自身もがんの患者さんの方のメンタルケアにあたることが多いのですが、中でも小さなお子さんを抱えている方の相談は切実で、考えなければならないことがたくさんあります。

――子育てだけでも大変なのに、病気まで。

藤澤:AYA世代(※)とも言いますが、比較的若い世代の患者さんに対するケアは他の世代の患者さんと比べて遅れているところがあります。なぜならば、この世代は大きな病気になる人が少ないので、医療現場でも支援の経験が少ないのです。一方で、人生ではこの時期はとても大変な時期です。(成人の場合は特に)仕事上のキャリアなど、自分自身の経験を積みながら、子育てもしないといけません。

(※)Adolescents and Young Adults(思春期・成人期)の略。おおむね15歳~39歳をさす。自身の人生キャリア形成、結婚、育児など多彩な人生上のイベントを経験する世代。

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