公立中学が挑む教育改革

2018年9月3日

»著者プロフィール
著者
閉じる

多田慎介 (ただ・しんすけ)

ライター

1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイト入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職を経験。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

「本質を突いた仕事をする行政マン」に初めて出会った

工藤:木村さんはいつも自分の目で子どもたちを見て、大人たちも見て、みんなを元気にするために何ができるかを考えている。「書物の教育論」に頼るのではなく、ご自身の経験を通して、本質を探し出しながら行動に移しているところがすごいなぁ、と思うんです。

木村:私は45年間、子どものいる現場しか知らずに過ごしてきましたから。工藤さんは、パブリックの一校長としては周りがなし得ないことをどんどん実現していますよね。それも、すべての人を敵にすることなく巻き込んでいく。工藤さんは東京都や新宿区などの行政マンも経験されましたよね?

工藤:はい。10年間、教育委員会で仕事をしていました。

木村:私が知っている行政マンは、言葉は悪いんですが「見てるところが違うやろ」と言いたくなるような、残念な人も多かったんです。私はずっと、子どもを置き去りにする施策に対して「NO」と言ってきました。「子どもがここにいるよ」といつも言ってきたつもりです。目的と手段を混同させず、本質を突いた仕事をする工藤さんのような行政マン経験者は、45年間教員を続けてきて初めて出会った気がします。

工藤:振り返れば私は20代の教員駆け出しの頃から、「これは、何のためにやっているのか」ということを常に考えてきたと思います。最近、私がよく使っている「目的と手段」ということですね。「目的と手段」という言葉で表現するようになったのは40歳を過ぎてからですが。

木村:そういえば、前にも一度話しましたよね。「目的と手段」の重要性に気づいたのは、工藤さんも私も同じ時期、同じタイミングで。東京と大阪という離れた場所にいて、当時は知り合いでもなかったのに不思議ですね。

工藤:まったく同じ人、同じ本に出会って影響されたんですよね。文部科学省の官僚だった岡本薫さんの『教育論議を「かみ合わせる」ための35のカギ』という本。

木村:そうそう。前から「工藤さんって、なんで私と同じ考えなんやろ?」と思っていたんです。まるで前世は双子だったんじゃないかと思うくらい。それでもしやと思って、工藤さんに「岡本薫さんって知ってますか?」と聞いたら「えっ!」となってね(笑)。

工藤:ああ! と(笑)。まったく同じ本を読んで大きな影響を受けていたんですよね。私は東京都教育委員会時代に、研修会で初めて岡本さんの話を聞いたんです。

木村:私は西日本で開催されたシンポジウムでの講演がきっかけでした。いろいろなお偉方の講演を聞いて、勝手に「○×△」をつけていたんですよ。生意気にも「そんな考え方やからダメなんや」とか思いながら(笑)。

でも岡本さんの話を聞いて、そんなおごりを持った自分を忘れて一気に引き込まれたのを覚えています。でも工藤さん、知っていますか? 当時はネットで調べると、岡本さんを叩く人も結構いたんですよ。

関連記事

新着記事

»もっと見る