前向きに読み解く経済の裏側

2018年9月10日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 人生90年時代、100年時代を迎えつつありますから、サラリーマンにとって60歳で定年を迎えて隠居する、ということが難しくなりつつあります。金銭的にも老後資金不足が心配ですが、社会との接点が減ると生きがいの問題や孤独の問題等々も出てきます。

(AndreyPopov/Gettyimages)

 かといって、サラリーマンが同じ会社に70歳、75歳と勤めることも容易ではありません。定年延長だと人件費が嵩むので、定年後再雇用という形式になる場合が多いでしょうが、それでも問題は多いはずです。たとえば、かつての部下にお仕えすることになる場合も多いでしょうから、お互いに大変やりにくい思いをするでしょう。

 自分がかつての部下に頭を下げることに抵抗がないとしても、相手が自分に適切な指示を出すことが期待しにくいかもしれません。そうなると、文字通り窓際で新聞を読んで過ごすことにもなりかねません。それでは到底社会参加意識もやりがいも得られないでしょうし、会社の中で孤独を味わうことにもなりかねません。

 それなら、一層のこと、セカンドキャリアを探した方が良い、と考える人も多いでしょう。幸いなことに、政府が副業を後押しする時代になっていますから、社内で先が見えてきて、やりがいのある仕事が見つけにくくなってきたら、副業をして充実感を得ながらセカンドキャリアの可能性を探りましょう。

 他社に勤める場合、もっとも重要なことは、謙虚になることでしょう。若者の転職と異なり、中高年のセカンドキャリアで前の会社より大きな会社に勤めることは考えにくいですから、「こんな小さな企業は俺には似合わない」といった感情が芽生える可能性もありますが、それが顔に出たら終わりだと思って自戒しましょう。ただでさえ「大きな会社から転職してくる爺さん」という目で見られていることをくれぐれも忘れずに。

 ちなみに、業務のやり方などで、要改善点に気づくかもしれません。元の職場の業務のやり方の方が合理的だ、という場合もあるでしょうし、そもそも部外者の視点で虚心坦懐に見た方がずっと会社にいる人よりも問題点に気付きやすい、ということもあるからです。

 しかし、そうした時には、大きな声で「こんなやりかたはダメだ」と言うのではなく、改善案をレポートにして一人か二人にこっそり手渡す程度にしましょう。その結果、もしかすると「外部の視点から改善点に気づいてくれてありがとう」と言われるかもしれませんが、無視される可能性も大きいでしょう。過大な期待は禁物です(笑)。

 当然ですが、相手が自分より若いからと言って、自分の方が偉いわけではありませんから、そこも十分に気をつけましょう。元の会社にいれば昔の部下に仕えるはずだったのですから、「知らない若造」にお仕えする方が、まだ気楽だと割り切りましょう。

 仕事の内容についても、ワガママは言えません。自分の経験を活かせる仕事が見つかれば良いですが、自分の経験がそのまま活かせなくても、応用が効くことであれば良しとしましょう。

 働き盛りであった頃の自分と今の自分を比べるのではなく、「セカンドキャリアに就かずに隠居して孤独に苛まれている自分」を想像して、それと比べれば、どんな境遇でも己の幸せを感じる事が出来るはずです。プラス思考ですね(笑)。

 いきなり転職するのと比べると、副業で試してみる方がリスクは遥かに少ないでしょう。万が一、最初の副業先で周囲に馴染めなくても、次の副業先では反省点を生かして周囲と馴染めるようになるかもしれません。小さな失敗をしておけば、大きな失敗が避けられる、ということですね。

 副業で働いている間に、相手の会社の求めている物と自分の提供できる物がマッチングしているか否かを確認できることも重要ですね。自分の経験がそのまま活かせるわけではなくても、応用が効くのか否かをトライしてみて、ダメなら次を探す、といったことが可能だからです。

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