World Energy Watch

2018年9月11日

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老朽化が進む北電の発電設備

 依然として生産が行われている国内炭を主として使用しているのは内陸部に建設された北電の発電所だ。驚くのは、その運転開始時期だ。表-1の通り、1960年代、70年代の設備が主体であり、35年以上利用されている発電所ばかりだ。燃料効率も悪く、露天掘りとはいえ、輸入炭との比較では相対的に価格が高いと思われる国内炭を使用していることから発電コストも安くはないだろう。

 

 北電は石油火力も保有しているが、石炭との比較では燃料費は高くなる。今年3月の輸入価格を元にすると、1kW時当たり石炭3.8円に対し石油は11円と約3倍になる。コストを抑えるためには、石油火力の利用は抑制する必要がある。

 競争力のある電気を提供するため、北電が建設したのが太平洋側の苫東厚真石炭火力発電所だった。豪州などから大量に輸入することで輸送コストの引き下げを狙った大規模な発電所になった。さらに、日本海側に泊原子力発電所を建設した。北電の最大電力需要量と販売電力量の推移は図の通りだ。

 需要は伸び悩んでおり、大規模火力と原発を建設すれば、これ以上の設備を分散し建設することは経済性の面から難しい。さらに、冬の気象条件が厳しく、海外から燃料を輸入する大規模港湾を必要とする発電所を北部に建設することは難しいという地理的な制約もある。

 国内炭引き取りのため維持が必要な内陸部の老朽化した石炭火力発電所、石油火力、大規模輸入炭火力、原発を抱える北電が、これ以上の設備の多様化を進めるのは経済性の面から無理だったが、泊原発の停止が長期化していることから、石狩湾に液化天然ガス火力を今建設している。しかし、自由化された電力市場では将来の電気料金が不透明なことから、新規設備への投資にはどの電力会社も慎重になる。設備の更新が自由化市場では遅れることになり、北電も老朽化した設備を簡単に更新することは難しいだろう。

 電源を分散しておけばと言うのは簡単だが、非常時に備えて電源の予備を用意すれば、それは電気料金上昇に結び付く。電気料金は産業の競争力、家庭生活に大きな影響を与えるので、余分な電源を用意し高い予備率を維持している電力会社はない。欧州は、送電網が連携しているため発電所の故障時に他の電源から電気を送れる可能性は高いが、列島の形状から南北方向にしか連携が難しい日本で欧州のような連携は地理的に難しい。その欧州でも再エネ設備量の増加により電力供給に問題がでてきている。

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