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2018年9月12日

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昨年9月にカリブ海を襲ったハリケーン・マリアで2975人が死亡した米自治領プエルトリコへの政府対応を、ドナルド・トランプ米大統領が「素晴らしかった」と称賛したため、住民は強く反発している。プエルトリコでは被災から11カ月たった先月になって、電力がようやく完全復旧した。

大型ハリケーン・フローレンスが米南部に接近する中、ハリケーン・マリアの教訓を質問されたトランプ氏は11日、プエルトリコが「島なので(マリアは)今のところ一番厳しかった」ものの、「こういうことについては今までで最高の対応だったと思う」と答えた。

大統領はさらに、「FEMA(連邦緊急事態管理庁)と捜査当局とみんなが、プエルトリコの知事と一緒になってやった仕事は、素晴らしかったと思う。プエルトリコ(対応)は見事な、あまり話題にならない大成功だったと思う」と続けた。

被災当初からトランプ政権の対応を厳しく非難してきた中央都市サンフアンのカルメン・ユーリン・クルス市長は、「死者3000人が成功だったと思うなら、どうしようもない。神様、助けてください」とツイートし、今回の大統領発言は「泣きっ面に蜂」だと批判した。クルス市長は先月末、プエルトリコ自治政府が公式死者数をそれまでの50倍にあたる2975人に修正して発表した際、トランプ政権のお粗末な救援対応は「政権にとって汚点」だと強く非難していた。

自治政府のリカルド・ロッセロ知事は11日夜に声明で、マリアは「現代のプエルトリコにとって史上最悪の自然災害だった。基本インフラが壊滅し、数千人が死亡し、多くが今も苦しんでいる」と述べた。さらに、「植民地と連邦政府の関係が『成功』していると呼べるなど、あり得ない。合衆国の米国人が享受する不可譲な権利の一部が、プエルトリコ人には認められていないからだ」と反発した。

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知事が委託した米ジョージ・ワシントン大学調査によると、プエルトリコの人口330万人のうち、約8%がハリケーン以降に島を離れた。またハリケーンで死亡した割合は、貧困層のほうが45%高かったという。

米政府は崩れる建物の下敷きになったり、溺死したり、飛んでくるがれきにあたるなど、ハリケーンによる直接的な衝撃で死亡した人のみを数えていたため、8月末までの公式死者数は64人だった。しかし、実際には停電や清潔な水の給水停止、交通網の破壊による医療行為などの中断が、大勢の死亡につながったことが複数調査で明らかになっている。ハリケーン後に停電が何度も繰り返されたため、糖尿病や敗血症などによる死者も増えた。

死者数が50倍に上方修正された際、トランプ氏は政権の対応を擁護し、「プエルトリコでの働きは素晴らしかったと思う」と述べた。「プエルトリコには何十億ドルもの資金をつぎ込んだ。とても大変だった」、「プエルトリコのほとんどの人は、我々のしたことを本当にありがたく受け止めていると思う」と話していた。

3000人近くが死亡

米本土でも野党・民主党の政治家たちが次々に、トランプ氏を批判した。

バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)はツイッターで、「3000人近くが死亡した。それは『成功』じゃない。それは悲劇で、政府の恥だ」と書いた。

チャック・シューマー上院院内総務は、「大統領の発言は当事者を侮辱し傷つけるもので、あからさまに事実と異なる発言だ」と批判した。

ニューヨーク州の民主党予備選で現職を破り中間選挙の下院議員候補となった、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏は、「(プエルトリコの)親類の中には、ほんの数週間前にやっと電気が戻ったという人たちもいる。がれきがきちんと撤去されず整備されなかったので、菌の胞子が飛散して、それで呼吸器系の病気にかかっている人たちもいる。プエルトリコへの政府の対応は、惨たんたるものだった」と批判した。オカシオ=コルテス氏は母親がプエルトリコ出身。

一方で、一部のトランプ支持者はソーシャルメディアで、対応に問題があったことは認めつつ、大統領はできるだけのことをした、問題が起きたのはプエルトリコ自治政府側のせいだと書いている。

(英語記事 Trump's claim of success in Puerto Rico hurricane response derided

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45492878

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