定年バックパッカー海外放浪記

2018年9月16日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2017.11.4~2018.1.10) 68日間 総費用33万9000円〈航空券含む〉)

豊かな大自然と美しい街並みを巡る自転車旅行

小雨のシドニー・ハーバーブリッジ

 初夏のオーストラリアを自転車に乗ってキャンプしながら2カ月超周遊した。11月5日から11月28日まで24日間かけてシドニーからブリスベンまでセントラル・コースト、ホリデイ・コースト、ゴールド・コーストと海岸線に沿って北上1200キロ走破。

 ブリスベンからメルボルンまで空路移動。11月30日から12月11日まで12日間かけてメルボルンから最近人気のグレート・オーシャン・ロードを西進して終点ワーランブールまで300キロ走破。

 ワーランブールから鉄路でメルボルンに戻り、メルボルン港からフェリーボートでタスマニア島に渡航。12月15日から1月3日まで19日間かけてタスマニア島のデボンポートから北岸、東岸を走り南端のホバートまで500キロ走破。最後はホバート市のゲストハウスで一週間静養。

誰もが口にするオーストラリア賛歌

 この2カ月間の旅行で毎日市井のオーストラリア人と話したが、彼らが口にしたのは「今の生活に満足しているよ」「この町が好きだ」「素晴らしい自然に囲まれて幸せだ」「色んな国に旅行したけどオーストラリアが最高だ」という素朴で手放しのオーストラリア賛歌であった。

ニューサウスウェールズ州の田舎町。住宅と車道の間に歩道兼子供用自転車道が設けられている

 オーストラリア人(オージー)というと明るく開放的で親切というプラスイメージを抱いていたが、まったくイメージ通りであった。今まで4年間の放浪旅で中国、韓国、東南アジア、インド、地中海、南欧、米国など数十か国を行脚してきたが自分の生活、人生、そして社会に対する満足度については、どこの国の人でも多少なりとも否定的であるのがフツウ(一般的)であった。特に中国、韓国、南欧では否定的コメントが圧倒していた。

「オージーはどうしてそんなに幸せなのか」興味深いテーマであると感じた。

街の景観がキレイ!!

 11月5日、シドニーを出発。最初に感じたのは、ロードコンディションが非常に良いことである。自治体が定期的にメンテナンスしている。自治体の財政事情は道路維持費に敏感に反映するので、ロードコンディションで自治体の富裕度や景気の良し悪しが分かる。

 次に気づいたのは、シドニー中心部から郊外に至る道すがら、いわゆるスラム街を見かけなかったことである。ブリスベン、メルボルン、ホバートでも荒廃したスラム街の記憶がない。昔からの工業都市であるニューキャッスルでは往時の工場労働者の古い集合住宅が並んでいたが再開発予定地であった。

 おそらく人口増加と経済成長のサイクルが持続的に調和しているのであろう。そして欧米でもアジアでも程度の差こそあれ目につくゴミ問題も、オーストラリアは格段に日本に近い水準であった。こうしたことが相俟って街の景観がキレイに見えるのだろう。

フツウのオージーは日本人から見たら富裕層?

 オーストラリアの街並みで特徴的なのは芝生であろう。戸建て住宅では道路脇まで広がる庭園の芝生をカートに乗って芝刈りする姿が日常的である。住宅地では日本の感覚からすると豪邸が立ち並ぶ。そして戸建て住宅のカーパークには乗用車、大型四輪駆動車、キャンピングカー、モーターボートが置かれている。四駆でキャンピングカーやモーターボートを牽引するのだ。いわゆる中流階級ではこうした戸建て住宅がフツウのようである。

カルーア河畔のフリーキャンピングサイト(町営無料キャンプ場)。バーベキューハウスの屋根の下で『お一人様テント』を設営

 日本で40年間真面目に働いてもこのようなライフスタイルを手に入れるのは不可能である。欧米でもフツウの勤め人には不可能であろう。なぜオーストラリアでは可能なのか。

ヤングファミリーの明るい未来

カンガルー注意の標識。オーストラリアではどこでも野生動物保護の道路標識が頻繁に設置されている

 11月11日。カルーア河畔の町営の無料キャンプサイトでテントを設営。隣はヤングファミリーである。29歳の旦那は大工さん。奥さんは経理事務をしていたという。1歳半の娘が一人。
大きなキャンピングカーで内装は快適なマンションのようである。旦那が自分でスクールバスを改造したという。彼らはオーストラリア生まれであるが、奥さんのお父さんが現在カリフォルニアに住んでいるので3年間カリフォルニアで暮らして帰国したばかりという。

 オーストラリアでどこに住むか決めるために一年間かけてキャンピングカーで全国を周って実地検分するという計画だ。「彼は腕のいい大工なので幾らでも仕事があるし、家も自分で建てるから安上がりよ。家を建てたら子供もあと二人は欲しいわね」と奥さんは楽観的だ。

 「カリフォルニアも住みやすいけど、やっぱりオーストラリアがベストね。大学まで教育はほとんど無料だし、医療費も安いし。米国は教育費、医療費が大変よね。」という奥さんの言葉は明るかった。

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