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暴言大臣・松本龍氏と福岡空港

Wedge編集部

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 なぜ巨額の赤字が出るのか。じつは福岡空港の用地の35%は民有地。この民有地を所有している800人以上の地主に、国は毎年、借地料を払い続けないといけない。その額、年間84億円。空港の歳出の3分の1を占め、赤字を出す原因となっている。その地主の1人が松本氏だというわけだ。

 借地料は地主組合などとの交渉で毎年決めている。ここ最近は1平方メートルあたり7390円。松本大臣と実弟はあわせて3317平方メートルの土地を所有しているので、受け取っている借地料は2451万円あまりとなる。平均すると各地主が受け取る借地料は1000万円ほどだから、地主のなかでも大規模だといえる。7億6000万円もの資産をもつ身には、微々たる金額なのかも知れないが、この借地料、当然のことながら国民の税金によってまかなわれている。松本大臣と実弟がこの土地を相続したのは94年。これまでに受け取った借地料は、福岡空港を所管する大阪航空局が過去の借地料を明らかにしないため、正確な額を明らかにするのは困難だが、これまでに1億円を超えているのは間違いない。市内の不動産業者によると、3億円を上回るのではないかとみられる。福岡空港が飛びぬけた赤字経営となっているなかで、決して些末な額と見逃すわけにはいかない。

福岡空港の守護神

 市内中心部から近いということは良いことばかりではない。福岡空港を利用したことのある方ならご記憶にあると思うが、航空機は住宅街すれすれの低空を飛んで滑走路に着陸する。空港周辺の地区の騒音は深刻だ。航空機の技術的進歩で騒音は減ってはいるものの、好調なアジア向け路線の増加などで騒音レベルは横這いのままだ。

 さらに、都市計画にも大きな影響を及ぼしている。航空法は空港近くの建築物の高さに制限を設けており、福岡の表玄関・JR博多駅の周辺でも45メートル以上のビルを建てることができない。空港用地の拡張も容易ではなく、滑走路も1本しかない。96年にガルーダ航空機が離陸時にオーバーランして機体が炎上した事故では、滑走路が1本しかないために、長時間にわたって航空機の離着陸が全面的にストップしてしまう事態となった。このため、福岡ではかねてから地元経済界を中心に、より多くの用地が確保できる別の場所に空港の移転を求める声が少なくなかった。これを受けて、02年に福岡県と地元経済界が玄界灘の沖合を埋め立てて新空港を建設するとの基本構想をまとめると、一気に新空港の建設をめぐる議論が沸きあがる。福岡県議会や市議会などでその是非をめぐって議論が行われ、県内の企業70社が「新福岡空港促進協議会」を設立。新空港の建設には、9200億円と巨額の事業費が見込まれたが、地元経済界は「100年先を考えて新空港を建設するべき」と求めた。

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