2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2018年10月3日

隣接地の活用で

敷地面積を広げる

 大手商社系の伊藤忠都市開発は首都圏でのマンション建て替えに力を入れており、03年以降今年4月までに7件の建て替え実績があり、「条件に合う物件を見つけるのは難しいが、年に1件ほどは成就させたい」(伊藤誠マンション建替・再開発室長)と話す。

 課題となるのが、いかに住民合意形成を早く進めるかと、容積率の余っているマンションが少ない中で、どうやって住民の負担を少なくして建て替えに協力してもらえるかだという。同社が注目しているのが、建て替え予定のマンションの隣地を活用した隣地敷地一体型事業だ。建て替えの対象となる敷地面積が広がることで、設計の自由度が広がり、より大きなマンションの建設が可能になる。分譲による売却収入が増えるため、住民は当該マンションだけの建て替えと比較して、評価の条件が良くなり、還元率アップの可能性が高まり、そうすることで、住民の合意を得やすくなるというわけだ。

 それでも「最近は入居者の高齢化で、工事に伴う2回の引っ越しや、資金の持ち出しなどで、建て替えに対して消極的な人が増えている。特に70歳代以上が多くなると難しくなる」と住民の高齢化が建て替えの障害になってきている。行政に対しては、小・中規模マンションの建て替えでは容積率のアップの有無が条件のポイントになるため、建て替えの増加につながる規制の緩和などを実現してほしいという。

現在発売中のWedge10月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店にてお買い求めいただけます。
■マンション サバイバル時代 
中西 享、榊 淳司、Wedge編集部
PART 1  「老朽化マンション」の不都合な真実 
PART 2  マンションの本当の価値は管理組合が握る
PART 3  住民合意、資金、容積率… 厳しいマンション建て替え
PART 4  憧れのタワーマンション 購入後に待つ困難
作れば売れる大ヒット商品 なぜ、日本人はタワマンが好きなのか?
PART 5 「マンション自治」を進める法整備を

  
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◆Wedge2018年10月号より

 

 

 

 

 


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