ちょっと寄り道うまいもの

2011年7月30日

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 翌日。残念ながら、朝とは言い難い時間。少し飲み過ぎたことを反省しつつ向かう先は桂。あの離宮のそばである。

 食するものも“そば”。

 「隆兵(りゅうへい)そば」という。以前、釆野さんに連れてきてもらい、京都のお味が興味深いと思った店である。ニシンそば云々ではなく、そばの有り様自体が違うのだ。改めて、予約を入れてもらった(小さい店で人気があり、なおかつ、中心部からは少し離れているので、入れなかったら悲しすぎる)。

「隆兵そば」は、関西の名店で修業したそば、あわせて供される料理、どちらも一級品。京都らしい繊細な味わい、新しい感覚でそばを楽しませてくれる

 お任せを頼むと、オクラや湯葉などの和風ジュレ仕立ての葛切り、昆布締めにした鯛(たい)などなど、食が進み、なおかつ、また一献いきたくなるようなあれこれが。カクテルグラスのジュレをはじめ、器の使い方にも季節を感じさせ、涼を呼ぶ風情が、まさに京都である。

 そして、そば。とりわけ「つゆ」に、関東とは明らかに違う、だしの文化の地を実感させられる。料理の一連の流れが、明らかに違う。鰻と同じで、そばと言えば東京が本場と言いたくなるのをこらえていると、異なる解釈の発見の喜びに出会えるのである。そば湯に湯葉やお麩なんて、参ったなあ、考えつかないわと微笑しつつ。

 そうそう、この隆兵そばのご主人の実家が、老舗の和菓子屋、「中村軒」。これまた、すぐそば。日持ちしそうなお菓子を、帰りに少し買い込んでいこう。和菓子こそが、京都の季節を象徴している。一番のお土産だ。

桂離宮のそばに店を構える「中村軒」。自然な甘みの饅頭やおはぎが評判だ。どっしりとした日本家屋の店内でかき氷などを食べることもできる。隆兵そばのご主人は、こちらの5代目の弟さん

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