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2018年10月2日

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9月28日にマグニチュード(M)7.5の地震と津波に襲われたインドネシア・スラウェシ島パルで1日、ボランティアによる犠牲者の共同墓地への埋葬が始まった。

9月28日の地震はスラウェシ島西部の広範囲に被害を引き起こした。インドネシア国家防災庁は2日、死者数が1200人超になったと発表。これまでの844人から大幅に拡大した。

救助スタッフは崩壊した建物のがれきに閉じ込められた生存者に接触しようと試みているが、がれきを持ち上げる重機の不足が妨げとなっている。

大きな被害を受けた観光地パルのロア・ロア・ホテルも崩壊。このホテル1棟だけでも、崩れたがれきの下に数十人の生存者がいると推定されている。

(このビデオ冒頭には津波の映像が含まれます)


ロイター通信は、インドネシア赤十字の広報担当者アウリア・アリアニ氏からの情報として、パルの南にあるシギの教会で子供34人の遺体が発見されたと報じた。この教会は泥とがれきに飲み込まれたという。

アリアニ氏によると、子供たちは「聖書キャンプ」に参加していた。このキャンプには計86人の子供が参加していたが、残りの52人の行方は分かっていない。


国家防災庁はBBCに対し、津波がスラウェシ島を襲う前、同国の津波探知ブイは1つも作動していなかったと認めた。

深海センサーと接続していた海上の津波探知機21機は、何者かによって損傷を受けたか盗まれていたと、同庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は述べた。

それでも津波警報は発信されていたというが、伝えられた波の規模は実際より大幅に過小評価されていたとみられる。

揺れにより電力供給が止まっていたため、パルにいた人の多くは警報を受信しなかった。湾岸部には警報機の設置もなかったという。


被災地の現状

「通信手段は制限され、重機も限られている(中略)崩壊した建物の数に対して十分でない」とヌグロホ報道官は語った。


カトリック救援事業会のイェンニ・スリヤニ氏は、スタッフの被災地入りに支援団体が苦戦していると述べた。パルの主要空港が損害を受けたほか、土砂崩れによって道路がふさがれ、「ほとんと全ての地域で電力が止まっている」ためという。


生存者の一部は、食料や水、燃料を求め、商店で略奪行為に及んでいる。略奪者らは記者に対し、供給不足だと語った。

ロイター通信は、支援物資が盗まれるのを防ぐため、警察が救援車列を警護していると伝えている。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は被災地域を訪れ、「24時間体制」での生存者救出への取り組みを要請した。


政府高官は、地震で被害を受けた地域の3刑務所から、受刑者約1200名が脱獄したとしている。

埋葬される犠牲者

パルを見下ろす山岳部では、ボランティア・スタッフが共同墓地に集まり、到着予定の犠牲者合計1300人の埋葬に向け準備の指示を受けた。

共同墓地にはオレンジ、黄色、そして黒の遺体袋に包まれた遺体を載せたトラックが到着。遺体は墓地に運び込まれ、電動の掘削機がその上に土をかけた。


しかし、行方不明の近親者を捜索している人もいまだ多い。

捜索者の1人アディさんはAFP通信に対し、津波が襲った当時、パルのビーチで妻を抱きしめていたが、それ以来妻を見ていないと語った。

「波が来て、私は彼女を見失った」とアディさんは話した。「50メートルほど流された。何にもつかまれなかった」。

壊滅的な津波被害の理由

M7.5の地震は9月28日の現地時間午後6時3分(日本時間午後8時3分)、スラウェシ島中部で起こった。震源の深さは10キロで、津波も引き起こした。


地震は強かったものの揺れは浅く、横揺れの方が縦揺れよりも大きかった。一般的に津波を引き起こす種類の揺れではなかった。

25万人近くが死亡した2004年のスマトラ沖地震以降、太平洋地域全体に警告システムが設置された。

現地で撮影された動画は、海岸を高さ6メートルの波が襲い、人々が叫ぶ様子を映している。海岸ではお祭りの準備が進んでいたが、波が襲った場所は全てが押し流された。

インドネシアは、地殻プレートが衝突し、世界の火山噴火や地震の多くが起こっている「環太平洋火山帯」に位置している。

(英語記事 Indonesia earthquake and tsunami: Dead buried in mass grave

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45715089

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