BBC News

2018年10月4日

»著者プロフィール

米国務省は2日、外交官と国連職員の同性パートナーに対する外交ビザの発給を停止する方針を明らかにした。

新方針は1日から発効した。現在米国に駐在している同性パートナーは、今年12月31日までに、米国退去か、結婚か、ビザの種類変更を迫られる。

米国は2009年以来、駐在外交官らの同性パートナーに外交ビザを発給していた。

同性婚は現在、世界25カ国で認められている。一方、同性愛を違法としている国は71カ国ある。

トランプ米政権の新たな方針転換は、メモ書きで国連内に回覧された。

メモには、「2018年10月1日から、国連職員に同行しているか、新たに赴任する国連職員に同行を検討している米国内の同性パートナーは、G-4ビザの資格を得るための結婚証明書を提供するか、ビザの種類変更を求めなければならない」と記されていた。

G-4ビザは、国際機関の職員とその近親者に発給されている。

米国務省によると、「合法的な結婚が、入国管理上の意味合いで配偶者として資格を得られると考えられる唯一の法的関係」だという。

国連米政府代表部は7月12日付で国連に送付した覚書で、「米外交官の同性パートナーはいまや、異性パートナーと同じ権利と利益を享受している」としてこの変更を平等性への一歩と称賛したと、米メディアは報じている。

しかし、大多数の国が同性婚を認めていないことから、この変更を同性パートナーに不公平なものと批判する声もある。

米国のサマンサ・パワー前国連大使は9月28日、ツイッターに「不必要に非情で融通の利かないこと。米国務省は、国連職員の同性パートナーで米国内にいる人に、結婚していない限り、ビザを発行しなくなる。しかし、国連加盟国の12パーセントしか同性婚を認めていない」と投稿。新方針を非難した。

https://twitter.com/SamanthaJPower/status/1045756345822191616


国連内でLGBT(性的少数者)への平等を推進する団体「UNグローブ」は、トランプ政権の新方針が「規則の残念な変更」だとする声明を発表した

同団体は声明に「既に米国内にいるカップルは、市庁舎へ行き結婚はできる。しかしこの人たちは、もし同性愛や同性婚を違法とする国に戻った場合、訴追を受ける可能性がある」と記した。

今年の年末以降、外交官と国連職員の同性パートナーのうち結婚していない人は、結婚せずビザ種類の変更もしない場合、30日以内に米国から退去しなければならなくなる。

ただ、同性婚を認めていない国から派遣されている駐在外交官の同性パートナーにだけは、特例が適用される見込みがある。ある国の政府が、米国からその国に派遣された政府職員の同性パートナーに同様の特権を与えた場合、その国の駐米外交官の同性パートナーには外交ビザが発給される。

米国務省の高官はBBCに対し、同省が方針変更に含まれる可能性のある人権侵害を懸念しており、個別の懸念に対して議論したいと望んでいると述べた。

新方針は、2009年に当時のヒラリー・クリントン米国務長官が決定した、外交当局者の同性パートナーに外交ビザを発給するとの方針を覆すものだ。

国務省の当局者は、合計で約105組の家族が、新方針の影響を受ける可能性があるとしている。

外交専門誌フォーリン・ポリシーによると、米国内に同性パートナーと駐在しており、パートナーのビザを維持するため来年までに結婚する必要のある国連職員が少なくとも10人いるという。

人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアクシャヤ・クマル国連担当副ディレクターは団体のウェブサイトに、方針変更が「同性カップルに知らぬ間に影響するだろう」と書いた

「米国政府は、今日まで9年近くしてきたように、真正なパートナーシップの証明として結婚を要求するのは、不正で非情な方針だと認識すべきだ。この方針はLGBTの人々の多くが自国で直面した恐ろしい差別を反復するもので、すぐに撤回されるべきだ」

国際レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランス・インターセックス協会(ILGA)によると、現在世界で71カ国が同性愛を犯罪としている。

他にも同性愛に何らかの形で法的規制を設けている国がある。また、イラン、サウジアラビア、イエメン、スーダン、ソマリア、ナイジェリアでは、同性愛関係は死刑となる可能性がある。

(英語記事 US ends diplomatic visas for UN same-sex partners

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45728438

関連記事

新着記事

»もっと見る