Washington Files

2018年10月9日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

無党派層のトランプ評価

 しかし、問題はトランプ支持層ではなく、無党派層のトランプ評価だ。

 共和党全国委員会(RNC)が9月2日、専門調査機関に依頼して実施した最新の世論動向分析結果によると、無党派有権者の実に63%が、トランプ政権の最大のセールス・ポイントとされていた大幅減税について「大企業と富裕階級を利する措置」と冷やかに受け止めており、「中産階級が恩恵を受ける」と回答した人はわずかに27%にとどまっていることがわかった。

 党本部の内部資料として作成された同調査内容を入手したブルンバーグ通信によると、11月中間選挙での民主、共和両党の支持基盤はすでにほぼ固定されつつある中で、今後勝敗のカギとなる無党派層の圧倒的多数が大幅減税に厳しい評価をしていることが判明したことに共和党陣営は衝撃を受けているという。減税と景気以外に内政・外交を通じ、大半の有権者にアピールできるこれといった成果は示されていないからだ。

 この点に関連して同調査レポートは「共和党は減税を売り物にしようとする“メッセージ戦争”で民主党に敗北した。全米のほとんどの有権者は、共和党が大企業と富裕層を優遇するために減税を行い、結果的に社会保障やメディケア関連予算をカットしたと受け止めている」と結論付けているという。

 なお、同調査によると、税制改革そのものに対する有権者全般を対象とした支持率は「賛成44%」「反対45%」と拮抗する結果となっている。それだけに、無党派層の圧倒的多数が、国民の重大関心事である社会保障を犠牲にした大幅減税に不満を抱いていることが明らかになったことは、逆に野党民主党にとっては好材料となるとみられる。

 さらにNBCテレビ報道によると、両党候補の接戦が伝えられる以下のようないくつかの州に特定した世論調査結果でも、無党派層の“トランプ離れ”現象が指摘されている。

  1. アリゾナ州上院選 = 8月の時点で、共和党候補が5%差でリードしてきたが、無党派層の支持率では民主党候補(49%)が共和党候補(32%)を大きく引き離しており、逆転勝利の可能性が濃厚になっている。
  2. オハイオ州上院選 = 再選を目指す現職民主党候補が10%前後の差でリード。とくに無党派層支持率では共和党候補に21%の差をつけ有利な戦いを進めている。
  3. フロリダ州上院選 = 前半戦では共和党候補が民主党現職候補相手に優勢が伝えられていたが、中盤以降は接戦となり、最近ではわずかながら民主党候補のリードが伝えられる。その中で、無党派層支持率では民主党候補が9%の差で引き離している。

 また、NBCテレビは、上記3州の無党派層を対象に「2020年大統領選でのトランプ再選」への期待度を聞いたところ、アリゾナ州で29%、フロリダ州で31%、オハイオ州で32%止まりとなり、大多数が再選に反対していることがわかった。

 2016年大統領選では3州のいずれにおいてもトランプ氏が勝利をおさめていただけに、ここでも”buyer’s remorse”がじわじわと浸透しつつあることを裏付けている。

 2016年大統領選では共和党支持にシフトした無党派層。果たしてそれから2年後の11月中間選挙では、今度は民主党に微笑をもたらすことになるのかどうか―。

  
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