海野素央の Love Trumps Hate

2018年10月10日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

「米国民主社会主義者」の勢い

支持者と語るオカシオ・コルテツ候補(筆者撮影@ニューヨーク市クイーンズ区ダイバシティ・プラザ)

 「米国民主社会主義者」は、全米最大の社会主義の政治団体です。クイーンズ・カレッジの政治学者で、米国社会の貧困層を描いた「もう一つのアメリカ」の著者マイケル・ハリントン教授によって、1982年に設立されました。米国民主社会主義者は、反大企業、反資本主義及び反戦を掲げています。

 同団体の会員数は、16年は5000人でしたが、18年は4万人に急増しました。オカシオ・コルテツ候補がクローリー下院議員に勝利を収めた翌日の6月27日、1152人が会員になっています。因みに会員には、1989年のニューヨーク市長選でアフリカ系米国人として初の市長となったデイヴィッド・ディンキンズ氏が含まれています。

 米国民主社会主義者は、10年米中間選挙で大旋風を起こした保守派の市民運動「ティーパーティー(茶会)」の左派バージョンと指摘する声があります。米国民主社会主義のニューヨーク支部は、今回の中間選挙でオカシオ・コルテツ候補支持を表明しました。

 トランプ大統領は、まだオカシオ・コルテツ候補を名指しで批判していませんが、米国民主社会主義の拡大に警戒心を抱いていることは確かです。南部ミシシッピー州で9月2日に行われた集会で「社会主義から米国を守る」と主張し、6日に米中西部カンザス州で開催された集会では、「民主党はベネズエラのように社会主義になった」と強調しました。資本主義を肯定し、社会主義を否定する中高年のトランプ支持者を強く意識した発言です。

 オカシオ・コルテツ候補は、10月13日に誕生日を迎え29歳になります。11月6日の中間選挙で、米国史上最年少の連邦下院議員が生まれることは確実です。しかも、極右からの支持を得ているトランプ大統領と対極に位置する極左のオカシオ・コルテツ候補が連邦下院議員になります。同候補は反トランプの急先鋒となり、民主党に力を与えるかもしれません。

  
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