WEDGE REPORT

2018年10月10日

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決選投票のカギを握る「中間層」の取り込み

 決選投票はボルソナロ氏とハダジ氏との間で行われ、このままの勢いが続けばボルソナロ氏優勢だが、ハダジ氏とて勝利の可能性がないわけではない。

 第一に、今回中道左派として出馬したシロ・ゴメス氏は12.5%を得票した。ゴメス氏は決選投票でハダジ氏を支持する旨述べており、ハダジ陣営としてはこの票が見込める。第二は、ルーラ氏との距離感だ。今回、PTの汚職体質に予想以上の反発があることが明らかになった。これまでのところハダジ氏はルーラ後継を強調するあまり、定期的に収監中のルーラの下を訪れているがこれは逆効果である。むしろPTやルーラ氏と距離をとる方が有利になるだろう。ハダジ氏は第一回投票では極右候補ボルソナロ氏の危険性をことさら強調した。

 しかし、国民が雪崩を打ってボルソナロ氏を支持し、既成政治への忌避感を示している今、ハダジ氏がボルソナロ氏の危険性を強調するだけで決選投票を勝ち残れるとは思えない。国民に蔓延するのが何より既成政治への反発であることをまず理解すべきだ。既成政治には汚職にまみれたルーラ氏も入るのである。

 ボルソナロ氏の課題は中間層の取り込みだ。今回の46%の得票は中間層がボルソナロ支持に回ったことが大きい。しかし余りに過激な言動は中間層に不安を与えかねない。反既成政党の主張は国民の間に浸透した。決選投票に向け中間層取り込みも意図した言動への修正が課題だろう。

 もう一つ、ボルソナロ氏のキャンペーンはSNSを多用した。これは反巨大メディアの印象を与える上で有利に作用したが、反面、SNSでは当選後何をしたいか、政策の詳細を説明するには不十分と言わざるを得ない。決選投票ではより具体的な政策の提示が求められるのだ。

地方議会にも吹き荒れる「ボルソナロ旋風」

 今回、上院81議席の3分の2と下院513議席の全て、及び各州知事、地方議会選挙も同時に行われた。その結果は集計を待つ必要があるが、ここでもボルソナロ旋風が吹き荒れたものとみられる。ブラジル三大州のリオデジャネイロ、サンパウロ、ミナスジェライス各州でPTは上院の議席を失ったし、ボルソナロ氏の長男フラビオ・ボルソナロ氏はリオデジャネイロ州で上院の議席を確実にしたし、次男エドアルド・ボルソナロ氏はサンパウロ州で下院の議席を獲得したようである。

 議会選挙の行方は重要である。ルセフ前大統領の末期、議会は反ルセフでまとまった。ルセフ氏は何かしようにも何もできなくなったし、何より弾劾可決が確実なものになった。今回、議会でボルソナロ支持勢力が多くの議席を占める勢いだが、これはボルソナロ氏が当選すれば今後の統治に有利に働くにちがいない。

  
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