2024年4月19日(金)

<短期集中連載>ウナギの謎に迫る

2011年7月21日

 ウナギの産地として知られる岡山県の児島湾では、ウナギ漁師の方の豪快な食べ方に圧倒されました。ウナギの蒲焼(天然もの)が備前焼の大きな皿に、4~5匹分のせてあり、下にはご飯が敷き詰められています。しゃもじが一つ刺さった状態になっており、自分でよそって食べるのです。天然ウナギを山と盛り上げて、好きなだけ食べる。これは、大変な贅沢な食べ方でした。

 琵琶湖付近では、スキヤキでつかう割下に、ウナギとゴボウを入れる、「ウナスキ」があります。珍しいところでは、ウナギの刺身もあるそうです。残念ながら、まだ食べたことはありません。

 色々な国でウナギを食べてきましたが、やっぱり蒲焼きが一番だと思います。蒲焼きは料理法と言うより、すでに芸術の域に達した技のように思えます。裂いた感触でウナギの特徴をつかみ、それにあわせて蒸しや焼きの具合を調節する。江戸から続く歴史の中で磨かれた職人の技は伊達じゃありません。どうせウナギを食べるなら、そんな文化も楽しんでみてはいかがでしょうか。 (写真提供:青山潤氏)

語り手プロフィール:青山潤
東京大学大気海洋研究所特任准教授。1967年、横浜市生まれ。東京大学農学生命科学研究科、博士課程修了。その後、東京大学海洋研究所に所属し、塚本勝 巳教授の下でウナギの研究に携わる。2008年より海洋アライアンス連携分野特任准教授。現在も、研究の傍らエッセイなどを執筆している。著書に、ウナギ の新種を求めてアフリカ大陸を右往左往した『アフリカにょろり旅』や、ウナギの標本収集のためにタヒチ島などを訪れた『うなドン』(ともに講談社)がある。

 
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