World Energy Watch

2018年10月16日

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ドイツの苦悩

 ドイツでは固定価格買取制度により太陽光発電設備導入量が大きく増え、標準家庭での再エネ賦課金の負担が年間3万円に達した。このため、連邦政府は制度を見直し、太陽光発電設備の導入量は抑制されたが、風量が多い洋上風力を中心に風力発電設備導入量は増加を続けている。2017年の太陽光の全発電量に占めるシェアは7.0%、風力のシェアは18.8%だ。

 水力、バイオマスなどを含む再エネによる発電のシェアは、2010の19.3%から2017年には38.3%に上昇した。再エネによる発電量が増加した結果、火力による発電量は減少し、稼働率が低下してしまった。太陽光、風力による発電は不安定であり、例えば嵐が来ると太陽光も風力発電も使えなくなる。そのため、再エネの供給力が落ちた場合に備え安定的な電源である原子力と火力の設備を維持しておく必要がある。2010年に1億kWの設備量があった原子力と火力は、2011年に行われた老朽化した原発の停止もあり、2017年には9000万kWに減少している。

 ドイツは、近隣10カ国と電力の輸出入を行っており、列島の形状から連携線を多くの地域と結ぶことができない日本よりは安定供給の面で恵まれているが、やはり不安定な再エネの発電量の落ち込みに備える設備を必要とする。今年2月、ドイツは2015年に閉鎖した褐炭火力発電所を緊急時に電力供給を行う戦略的予備力として活用することを決め、欧州委員会の許可を得た。

 しかし、フランス、英国など7カ国が、二酸化炭素排出量が多い石炭火力を禁止する方向の欧州委員会がドイツの戦略的予備力を例外的に認めるのは、ダブルスタンダードとして先月訴え、欧州委員会はドイツ案を再度見直しすることになった。戦略的予備力が認められないと、2022年の脱原発も洋上風力を中心とした再エネ導入量増を図ることも難しくなる可能性がある。

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